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2010年 01月 09日
『底本 久生十蘭全集』パンフレット
『久生十蘭短篇選』(岩波文庫)を蝸牛読みしているのだが、現在刊行中の『底本 久生十蘭全集』(国書刊行会)のことが気になりはじめる。気になってしかたがないので、国書刊行会のHPから全集のパンフレットを請求し、それが今日届いた。そしてそれを読み、ますます購買意欲を掻き立てられる。

パンフレットの中に「久生十蘭讃」というページがあり、そこには十蘭作品に対する著名作家たちの讃辞の言葉が引用されているのだが、山田風太郎の『戦中派動乱日記』からの次の一文には心をグラグラ揺すぶられた。
<オール讀物>四月号買い来り、久生十蘭の「勝負」よみ驚倒。わが創作意欲フンサイさるを感ず。
この一文をピンポイントで引用しパンフレットに載せるあたり、国書刊行会恐るべし、である。ものは試しにと、横にいた家人に「この全集ほしいなあ」と言ってみたが、返事はなかった。まあ、予想通りである。
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by anglophile | 2010-01-09 15:07 | 読書 | Comments(0)
2009年 12月 23日
「トマス・ピンチョン コンプリート・コレクション」の続報
昨日は、今月のウェッジ文庫二冊(『独楽園』、『野口冨士男随筆集 作家の手』)を買いに、新刊書店に行ってきた。

お目当ての二冊を不釣り合いな大きさの買い物かごに入れて、しばらく店内をうろうろする。そして、外国文学の棚の前に来て、『世界文学全集』(池澤夏樹・個人編集)のカラフルな背表紙の群に目が行く。なんとなく『ヴァインランド』(トマス・ピンチョン)を手にとってみる。ショッキングピンクのカバーが素敵だ。奥付を見て、今月配本されたばかりであることを知る。次に、訳者の佐藤良明による解説と年譜を読み始める、近くのソファーに座って。ピンチョンの年譜が興味深かった。例えば、何年か前のアニメ『シンプソンズ』に、ピンチョンがキャラクターとして二回ほど登場していたらしい。ただし、頭には買い物袋をかぶっているので顔は見えない。で、その声をピンチョン自身が担当していたということだ。それは見てみたい!You Tubeで見れるのかしら。

で、解説の最後に、「トマス・ピンチョン コンプリート・コレクション」のことが書かれていた。もうすぐ刊行開始とのこと。柴田元幸は『メイソン&ディクソン』を、木原善彦は『逆光』(原題Against the Day)の訳をすでに脱稿しているという。佐藤もこれより『重力の虹』の新訳に取りかかるとか。ということで、予定よりも一年遅れて、ようやくこの全集が動き出す!
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by anglophile | 2009-12-23 12:05 | その他 | Comments(0)
2009年 10月 16日
『全集・現代文学の発見』
先日、某オークションで、前々からほしいと思っていた文学全集を落札した。

・『全集・現代文学の発見 全16巻・別巻1冊』(學藝書林、昭和51年)

17冊で3000円だったのがうれしい。品物が届いてみると、さすがに函は日やけしてはいるものの、中の本体はほぼ未読状態できれいだった。粟津潔のサイケデリック(?)な装幀のカバーもなかなかいい。

昭和42~44年にかけて刊行され、今回私が入手したのは昭和51年に「愛蔵版」として再発売されたものである。さらに調べてみると、平成16年に「新装版」としてさらに再発売されている。この「新装版」の装幀は、「愛蔵版」のものとまったく違うものになっているが、内容はまったく同じなようだ。また、責任編集は、大岡昇平、平野謙、佐々木基一、埴谷雄高、花田清輝の5人である。

『現代文学の発見』という全集のタイトル自体が非常に興味深いが、それぞれの巻にもタイトルが付けられている。

①最初の衝撃   ②方法の実験   ③革命と転向   ④政治と文学
⑤日常のなかの危機   ⑥黒いユーモア   ⑦存在の探求(上)
⑧存在の探求(下)   ⑨性の追求   ⑩証言としての文学
⑪日本的なるものをめぐって   ⑫歴史への視点   ⑬言語空間の探検
⑭青春の屈折(上)   ⑮青春の屈折(下)   ⑯物語の饗宴  
別巻・孤独のたたかい

当時の世相も少なからずこれらのタイトルのいくつかに反映させられているように思える。

もう1つ興味深い特徴がある。例えば、第13巻の「言語空間の探検」(これは詩・短歌・俳句のアンソロジー)には51人の詩人・歌人・俳人の代表作が収められているのだが、各詩人のプロフィールのいくつかが詩人自身の手で書かれていたりする。プロフィールだけなら特筆することはないのだが、さらにそのいくつかには自身の文学観のようなものが綴られているのがおもしろい。印象的なものをいくつか挙げてみる。

・『詩』とは詩人という無用な人間が、無用なことをライスカレーのごとく魅力的に書いたものである。(北園克衛)
・文学としての詩的業蹟の甚だしく薄いのは遙かな抱負と才の欠除とを同時に示すとみずから思い、すべては未完と不可能を出ぬことを身上とする。(瀧口修造)
・詩的冗談こそ詩が描く王宮である。(藤富保男)

なかなかおもしろい編集のしかただと思う。

(追記)
この全集に関する面白い記事があるのを忘れていた。興味のある方はぜひこちらもどうぞ。
石田 友三 「二つのアンソロジー」
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by anglophile | 2009-10-16 18:02 | 古本 | Comments(0)