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古本万歩計 Of what is lost, all I wish to recover is the daily availability of my writing, lines capable of grasping me by the hair and lifting me up when I'm at the end of my strength. - Roberto Bolano

9月後半の古本と読書

<9月18日(火)>
ネットで衝動的に注文したジョージ秋山『ばらの坂道(上)(下)』(青林工藝舎)が届いた。「ジョージ秋山捨てがたき選集」という秀逸なネーミングのシリーズからの2冊上下本。上巻に付されている呉智英の解説がなかなかいい。一方、ジョージ秋山へのインタビューも載っていて、こちらは解説の真面目なトーンとは対照的に、軽妙でおもしろい。夜、テレビを見ていたら、『アシュラ』がアニメ映画化されたことを知った。今月末公開らしい。ほほーっと思った。

<9月22日(土)>
野々市のブックオフで村上春樹『1Q84 BOOK2』『1Q84 BOOK3』(新潮社)を各105円で。妻用。このまえBOOK1を入手した。ようやく105円棚に降りてきた。

<9月23日(日)>
本日もブックオフへ。イシュメール・リード『マンボ・ジャンボ』(国書刊行会)マヌエル・プイグ『南国に日は落ちて』(集英社)ドリス・レッシング『夕映えの道』(同)トニ・モリスン『ラヴ』『パラダイス』(早川書房)ガブリエル・ガルシア=マルケス『誘拐』(角川春樹事務所)ロアルド・ダール『へそまがり昔ばなし』『こわいい動物』(評論社)菊地信義『装幀談義』(筑摩書房)新元良一『アメリカン・チョイス』(文藝春秋)が各105円。105円ならついつい手が出てしまう本ばかりで困った。いや、ほんとはうれしかった。ところで、いろんな作家名が頭の中でごちゃごちゃになるが、イシュメール・リードとE.L.ドクトロウもどっちがどっちかわからなくなる組み合わせのひとつ。105円以外では、川村湊編『現代アイヌ文学作品選』(講談社文芸文庫)200円、海野弘『スキャンダルの歴史』(文春文庫)275円、垂水千賀子『行く、脳髄』(紫陽社)800円を買う。夜、古本でいっぱいになっていた頭の中に少し隙間ができて、すっかり忘れていた大相撲のことを思い出した。YouTubeで千秋楽結びの一番を見る。すごい大相撲。連続全勝優勝というのはすごいなあ。

<9月24日(月)>
読みかけのままにしてあった常盤新平『銀座旅日記』(ちくま文庫)を読了。『ニューヨーカー』を購読してみたくなった。さっそくあちらのHPをのぞいてみたら、年間120ドル(47冊分)で購読できるようだ。1冊200円ぐらいだと考えればすごく安い。が、毎週届くというのはしんどいペースだな。月刊くらいがちょうどいいのかもしれない。もう少し購読する強いきっかけがほしいところ。好きな作家が頻繁に寄稿しているとか。そういえば、ジャンパ・ラヒリの短篇も『ニューヨーカー』に掲載されていたはずだと思い、彼女の傑作短篇集『見知らぬ場所』のペーパーバックを調べてみたら、8つある短篇のうち、4つが『ニューヨーカー』に載ったものであることがわかった。早く彼女の新しい作品を読んでみたいものだ。ちなみに、サイト内で彼女の名前を検索してみたら、無料で読めるエッセイがいくつかあったのでプリントアウトして読んでみた。(ちゃんと印刷できるようになっているところがすごい!) 'Trading Stories: Notes from an apprenticeship' というエッセイで、生い立ちからの読書遍歴、そして作家になるにいたった経緯を回想している。知的な文章にうっとりとなる。

<9月25日(火)>
今日はグールド生誕80年目にあたる日。『ニューヨーカー』のHPにリチャード・ブロディという人が記事を書いていた。最初の1段落を引用する。
Today would have been Glenn Gould’s eightieth birthday. He was a true musical genius—not just a talented performer but also a great musical intellectual. He was an important aesthetic philosopher whose ideas regarding recording get to the heart of cultural modernity who also, miraculously, had the technique with which to reproduce in sound his ideas. He had a mercurial career, rising to celebrity in 1955, at the age of twenty-three, with his American début recording, of Bach’s Goldberg Variations—yet, as so often happens when geniuses become popular, he won his fame under something of a misunderstanding. ('Glenn Goud at Eighty')
最後の「ある誤解が元で彼は名声を得た」とある「誤解」がどんな誤解だったのか、そのあとを読んでもよくわからなかったのは私だけ?

<9月26日(水)>
『Coyote』の復刊号を書店で立ち読み。復刊したことよりも、休刊していたのを知らなかった。買うまでには至らなかった。

<9月27日(木)>
仕事が立て込んできて大童。気分転換しようと、仕事帰りに少々遠回りしてみたら、大収穫が待っていた!

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某所に入っていくと、なんとジョージ秋山の古いコミックがごっそりあるのを発見し、大興奮。『花のよたろう②~⑮』(秋田書店)『ザ・ムーン①~⑥』(朝日ソノラマ)『日本列島蝦蟇蛙』(講談社)『アシュラ(上)(下)』(立風書房)『ばらの坂道1~3』(汐文社)。各65円。すべて初版。状態は経年を考えればまずまずといったところ。でも、カバーに破れがあるものもあったので、もしかしたら廃棄処分になっていたかもしれない。千載一遇とはこのことよ。『花のよたろう』はなぜか第1巻が欠。ちなみに、第1巻と第2巻のタイトルは『よたろう』なのね。『ザ・ムーン』は小学館文庫で出た時、なんとなく買いそびれていた。『アシュラ』は立風書房版。上巻のビニールカバーは欠けているが、下巻にはビニールカバーだけでなく帯も付いている。そして、なんといっても『ばらの坂道』。この元版はプレミア価格がついていて、とても買えたものではない。だからと、このまえ青林工藝舎版を購入したのだけれど、こんなに間髪入れずにその元版と出会えるとは想像もしていなかった。こんなことって滅多にないので、帰り道は夢心地だった。ずっと読みたかった『ザ・ムーン』を近々読むことにしよう。

<9月28日(金)>
今日はボラーニョの『2666』(白水社)の発売日。でも、まだ書店にはなかった。石川県に入るのは明日か明後日ぐらいかな。買おうかどうか迷っている。

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ところで、日曜日は一箱古本市@源法院の日。うまく時間が取れたので、参加することにした。天気はどうなの?
Commented by Marty at 2012-10-24 22:44 x
古本万歩計さん、こんばんは。
HMVの書籍ポイント15%還元セールにつられて、「2666」と「エコー・メイカー」を買いました。しばらくは積ん読になりそうですが、何とか正月休みには読みたいと思います。この2冊を購入すると、分厚い文庫も何故か安く見えてしまいます(^^)。
それと、古本の雑誌も購入しました。しばらくはこちらを読んでみようと思います。
Commented by anglophile at 2012-10-25 02:33
Martyさん、こんばんは。

『2666』を購入されましたか。それにパワーズまでも! 私、まだ現物を見ておりませんが、かなり分厚いのでしょうねえ。ああ、手にしてみたい。代わりに、『南北アメリカのナチ文学』(邦題はおそらく未定)の英語版を注文してしまいました。これもけっこう好みに合いそうな気がしています。

『古本の雑誌』の方は、こちらは週末には手にできそうです。今から楽しみで、そわそわしています。
by anglophile | 2012-09-28 21:14 | 古本 | Comments(2)