2012年 07月 13日
From the Observatory
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昨年英訳されたコルタサルの異色作。短篇集とかではない。スペイン語の元本は1972年刊。全83ページの薄い本だ。写真と並行してシュールな散文詩が収められている。40年も英訳されずに埋もれていたということもできるが、それもそのはずで、収められている散文詩はとらえどころがない感じ。こちらのイメージが貧困なのもあるけれど、読んでもよくわからないのでスルーした。ウナギの生態などへの言及があるが、ちんぷんかんぶんである。まさにこの詩自体がウナギのようなもので、言葉が手元からぬるぬるすべり落ちていく。

一方で、写真の方は、コルタサル自身が撮ったものだけにおおいに興味をそそられた。購入したのも、その写真を見たいがため。実際、36枚収められている白黒写真はどれもすばらしい。こちらは永久保存版かもしれない。写真の対象物となっているのが、18世紀前半にインド・ムガール帝国の王ジャイ・シン2世が建造させたという石造の天文台群(astronomical observatories)。これらは、インドのニューデリーの南西に位置するジャイプール(Jaipur)というところにあり、ジャンタル・マンタル(Jantar Mantar)と呼ばれている。ウィキペディアを見たら2010年に世界遺産に登録されたとあった。この王様はインド各地に5つの天文台を建造したが、このジャンタル・マンタルが最大かつ一番保存状態がいいものらしい。コルタサルは1968年にここを訪れ、それに触発されてこの本を書いた。

強烈なイメージを喚起する白黒写真。石造建築物の硬質で冷たい表面。鋭角と鈍角の混合。たまらない魅力を感じる。

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by anglophile | 2012-07-13 11:46 | 読書 | Comments(0)


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