2012年 04月 23日
レコード芸術 2012年5月号
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今年はグールド没後30周年。『レコード芸術』が「再聴グレン・グールド~その芸術の深層へ」と題して特集を組んでいる。あまり縁のない雑誌なので、あやうく見逃すところだった。特集に割かれている頁総数は40頁で、記事は以下の7つに分かれている。

・素顔のグレン・グールド~1955年《ゴルトベルク変奏曲》“以前”のグールド・・・青柳いづみこ
・グレン・グールドの生涯,事件簿&発言集・・・満津岡信育
 ◎「批評」で追う「事件」としてのグレン・グールド・・・宮澤淳一
 ◎「ライヴ」に聴く「本当のグールド」・・・相場ひろ/青柳いづみこ/増田良介/満津岡信育
・グレン・グールド/作曲家別ディスク・レヴュー・・・相場ひろ/歌崎和彦/喜多尾道冬/広瀬大介/増田良介/満津岡信育/矢澤孝樹/安田和信
・グールドの「奏法」と「レパートリー」の関係・・・青柳いづみこ
・「音」の秘密~東光男氏(ピアノ技術者)にきくグールドの「ピアノ」・・・鈴木圭介
・「革新」という宿命と「アヴァンギャルド」の誇り~グレン・グールドの遺産・・・喜多尾道冬
・グレン・グールド ディスコグラフィ・・・宮澤淳一

なかでもピアノ技術者の東光男氏へのインタビュー記事がよかった。東氏は80年代半ばまでニューヨークのヤマハ代理店「オストロフスキー・ピアノ・アンド・オルガン・カンパニー」で技術者をされていた方。現在は日本で活動されている。グールドが晩年にそれまで愛用していたスタインウェイに替わってヤマハを使用したことはよく知られているが、そのピアノの調整をされていたのが東氏だった。(すごくうらやましい) このヤマハは2度目の『ゴルトベルク』録音時にも使用された。

記事にはかなり専門的な内容も含まれ、素人が理解するには限界があるが、その一方でグールドにまつわるエピソードも語られており興味深い。東氏が所属されていたオストロフスキーの店にはじめてグールドが訪れた時、ショーウィンドウに置かれていたピアノを試弾したそうだが、そのときは残念ながら東氏は立ち会われなかったようだ。
さる高名なピアニストが弾きに来るということしか教えてもらえなかったのです。後でそれがグールドだったと教えられて本当に悔しい思いをしました。アメリカでは、グールドのようなアーティストと仕事ができたら、などと思ったりもしていたものですからね。それで、次の週になって店に出ていくと、すぐに録音に使うそうだから2日で仕上げてくれと言われました。(51頁)
このときのより詳しい内容は東氏のHP内のこちらの記事に書かれている。結局、東氏ご本人はグールドと顔を合わせることはなかったようだが、日本人の技術者がこのようにグールドのディスコグラフィーの重要な場面に関わっていたことはやはりすばらしいことだと思ったのでした。
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by anglophile | 2012-04-23 22:54 | 音楽 | Comments(0)


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