2011年 12月 21日
偶然読書二件


あと1ヶ月ほどすると大学入試センター試験というのがやってくる。たまたま手近にあった某予備校のセンター試験用問題集<国語>の問題冊子を捲ってみたら、現代文<小説>の問題文に上林暁の「ちちははの記」の一節が使われているのを発見した。シブいじゃないですか! ときどきこういうささやかな読書の機会が得られるので、現代文の問題チェックは必要である。

マーク型試験だからすべて客観問題なのだが、試しに問題を解こうとしてみたら、選択肢が紛らわしくて頭が混乱した。各設問に付されている選択肢は5つもあるのだ。4つでいいじゃんよ。設問によっては、すぐに答えを出せるものもあるが、ややこしいのは本当にややこしい。ご苦労様です。

そんな問題解決作業とは関係なく、上林暁の文章のすばらしさは十分に堪能できる。問題冊子上ではわずか5頁ほどの抜粋だが、「しだいに彼の一家に腐蝕的な影響を及ぼしてゆくようであった」とか「それらの思い出が明滅するにつれ」などの言葉遣いに私は魅了されてしまった。機会を見つけて、全文を読まねばならぬ。


★★

何とはなしにそこを通ったら、岩波書店の小冊子『図書』が目に入ってきた。せっかくなので目次に目を走らせてみたら、阿部公彦さんが「由良先生とコールリッジ顔のこと」という非常に興味深いタイトルの文章を寄せているのを見つけた。そこを通った自分をまずは褒めてやる。

「由良先生」とあればほぼ由良君美のことであり、阿部さんが由良君美に教えてもらっていたなんて知らなかった。このペアリングは完全に予想外である。タイトルを見て、最初、由良君美についての短い追想かと思ったら、副題に「ワーズワスを教えたい(一)」とあるので、これはどうやら新連載のようだ。楽しみがひとつ増えた。そこを通った自分に拍手を送る。

はたしてこの新連載の主眼は、由良君美なのか、それとも英国ロマン派詩人たちなのか、はたまた両方なのか、この1回分だけからはちょっと判断がつかないように思う。それにしても、あいかわらず視点の置き所が秀逸である。由良君美がワーズワス顔というよりコールリッジ顔の方に近いということを一体他の誰が思いつくだろうか。
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by anglophile | 2011-12-21 23:01 | 読書 | Comments(0)


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