2011年 01月 25日
文人タイム
某ブログで紹介されていた産経新聞の記事「1日30分の文人タイム」を私も楽しく読んだ。これは、前警視総監だった米村敏朗氏が書かれた文章である。そこには、社会人や家庭人をしながらも、同時に日々読書を続けていくことがいかに困難であるかが書かれている。米村氏は、京都大学在学中、勝田吉太郎という教授の講義を受講していた。最終講義の際に、勝田教授は教室にいる学生たちに、こう話したという。
「私の講義はこれで終わります。諸君はこれから社会人としてそれぞれの道に進むわけですが、1日30分だけ本を読むようにしてほしい。その時々に話題となった小説や歴史物、あるいは評論やエッセー集、何でもいいのですが、ただし中身のある本を1日30分だけでいいから読む、そして大事なのはそれを毎日続けてください」
しかし、学生たちは「30分」と聞いて苦笑いした。すると、教授はこうも付け加えた。
「1日30分だけと聞いて皆さん笑いましたね。学生というのは本を読むのが仕事のようなものですが、いざ社会人となって仕事に就き、いろいろな人との付き合いも生まれ、そして結婚をして家庭人となる。その時1日30分といえども、自分の時間をつくって本を読む。これは至難の業です。就職して1週間もすれば分かります。でもやってください」
これを読み、最近はめっきりペースが落ちてしまった自分の読書をおもふ。何かに、誰かに、邪魔されずに読書をするということは、最近では稀である。

そのほかのエピソードで、米村氏は故・小渕首相の秘書官を務めていた時に、神保町の古本祭りに首相を連れ出すという作戦に成功したらしい。そのとき首相が買われたのがジョージ・オーウェル全集だった。
そして帰りに車の中で「あれを読むのも(総理を)辞めてからだな」と言われた。
その後の急逝をおもうと、なんだかしんみりしてしまう。小渕恵三とオーウェルというマッチングも意外だったので、このエピソードだけでもこの文章を読んだ価値があったというもの。あとで調べてみたら、小渕氏は、早稲田一文の英文科出身だったことがわかって、「へぇー」を連発してしまった。
[PR]

by anglophile | 2011-01-25 05:45 | 読書 | Comments(0)


<< 『十蘭万華鏡』(河出文庫)情報      今日買った本 >>