2011年 01月 10日
「水芦光子-なほそして雪かとおもふ。」
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室生犀星記念館で現在開催中の企画展「水芦光子-なほそして雪かとおもふ。」に行ってきた。この企画展のポスターには、次の言葉が印刷されている。
祝福(いわい)よりはしろい天の喪を 
地にあるわたしの負ふすべもなく 
仰ぐたび消えてゆくものを 
なほそして雪かとおもふ。
私は水芦光子という人を知らなかったが、上のこの言葉には大きく惹かれた。雪が降る季節に読んだからかもしれない。これから毎年、雪が降るたびに、この言葉を思い出すことになるだろう。

水芦光子は、大正3年(1914年)金沢に生まれた。幼いころより、環境にも恵まれ、文学的素養を身につけていった。昭和12年、23歳の時に、かねてから憧れていた室生犀星に手紙を書き、師事するようになる。最初は詩を書いていたようだが、そのうち犀星に勧められ、小説を書くようになった。その後、2003年に89歳で亡くなるまで、10作以上の小説を残した。

記念館には、著書といっしょに、テープライブラリーが置いてあり、水芦さんの声を聴くこともできた。テープは、平成元年に録音されたもので、犀星のほか、立原道造、津村信夫、富士正晴、伊東静雄、永瀬清子らとの交流を回想したものである。この年、金沢で開かれた詩の会に講演者として招かれていたのだが、体調を崩し欠席せざるをえなくなり、その代わりに、このカセットテープを送られたそうだ。金沢生まれの水芦さんの方言まじりの言葉を聴いていると、なんだか亡くなった祖母を思い出し、知らない人なのに親近感を感じた。

この企画展は、3月13日まで開かれている。

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このあと、やはり気持は「ブ」のある方角へ。

・種村季弘編 『泉鏡花集成 1』 (ちくま文庫)
・平野啓一郎 『日蝕』 (初版帯付、新潮社)
・開高健 『生物としての静物』 (集英社文庫)
・坂下昇 『現代米語コーパス辞典』 (講談社現代新書)

最後の『コーパス辞典』は1200ページある分厚い講談社現代新書で、著者の坂下氏はメルヴィルの訳者として知られている。もう20年以上前のものだが、英米作家の文章がけっこう引用されていて、これは気軽な読み物としておもしろいかも。
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by anglophile | 2011-01-10 23:57 | 読書 | Comments(0)


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