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古本万歩計 Of what is lost, all I wish to recover is the daily availability of my writing, lines capable of grasping me by the hair and lifting me up when I'm at the end of my strength. - Roberto Bolano

今日も暑かった   

今日は昼頃に目がさめた。3連休最終日。昼食を食べてから、家族でゴルフの打ちっ放しなぞに行ってみた。しばらく行ってなかったのだけれど、今週末は全英オープンがあったので、なんとなくまた興味が出てきたのかもしれない。ちなみに、私はコースを回ったことはなく、テレビでたまに観戦する程度。まったくの素人だから、持っているクラブといえば、数年前にリサイクルショップで買ったスプーン(ずっとドライバーだとおもっていた)とアイアン(何番かおぼえていない)の2本だけ。他のお客さんが立派なゴルフバッグを背負って建物に入っていくなか、この2本だけを持って受付をするのはなかなか勇気がいる。独りではぜったいにできません。

さて、後ろめたいような気持で受付を済ませ、2階の一番端っこにひっそりと陣取り、打ちっ放し開始。2、3球打っては休み、また2、3球打つ。けっこう体力が消耗する。交代で妻や息子が打つ。適当にアドバイスを与える。妻の方はおいといて、息子が石川遼のようになれるだろうか、などと考え、すぐにそれはないだろうなと考えを訂正する。親というものはついつい子供に期待してしまうものだ。3人で下手くそな球を合計60球ほど打つ。すると、私の左の掌の皮はむけてじんじんしている。痛いので、もう止めようということになって、1時間も経たずにゴルフは終了。所詮はお遊びよ。

そのあと、半分計画的に、打ちっ放しの近くにある「ブ」ではない「ブ」に寄る。

・倉橋由美子 『あたりまえのこと』 (朝日文庫)
・藤原新也 『印度放浪』 (同上)
・草間彌生 『無限の網-草間彌生自伝』 (作品社)
・町田康 『告白』 (中央公論社)
・花村萬月 『あとひき萬月辞典-花村萬月ベスト・アンソロジー』 (光文社)

5冊買ったら10%引きになったよ!買った二冊の文庫がどちらも朝日文庫なのは珍しいかも。花村萬月はふだんはノーマークだが、この本にはエッセイが何編か収められていて、それらを立ち読みしていたら何年も前に読んだ『父の文章教室』(集英社新書)のことが思い出された。「あまり威張るなよ」という最後に収められているエッセイはこう始まる。
父さん。あなたが死んだときは、ほんとうにうれしかったなあ。私は小学校四年で、多少は物事もわかりはじめていたから、小躍りこそしなかったが無限の解放感があったよ。おふくろや妹たちが泣くのを漠然と見守っているのもまずいと思ってうつむいていたけれど、葬式のときは退屈だったな。
ぎょっとする内容だが、次の段落を読むとその理由がわかる。
父さん。あなたは私が小学校にあがったとたんに、岩波や新潮の旧仮名遣いの文庫本を読むことを強要したね。あいうえおを習っているときに、それは無茶だよ。あなたの監視のもと、毎日数時間、読めもしない文庫本の字面をひたすら追うことは、小学一年の私にとっては地獄だったな。
父の死後、その「地獄」は幕を閉じたが、その反動で花村萬月は問題児となり、その後は「極道一直線」だったようだ。いやはや、なんとも凄絶な人生だ。

このことをより詳しく書いたのが『父の文章教室』である。これを読んだときは親の教育ということについてずいぶんと考えさせられたものだ。興味深かったのは、この「英才教育」のあいだ、音読ばかりさせられていたせいで、大人になってからも黙読ということができなかったそうだ。
Commented at 2010-07-20 23:49 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by anglophile at 2010-07-21 02:50
拙文お読みくださりありがとうございます。また、今週末の件についてのお知らせもありがとうございました。そうですか、それは残念ですね。次を待ちたいとおもいます。待っているときというのはいろんな考えを頭のなかで楽しむことができますから。それにしても、なんだか私もペプシが飲みたくなりました。
by anglophile | 2010-07-20 02:24 | 古本 | Comments(2)