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古本万歩計 Of what is lost, all I wish to recover is the daily availability of my writing, lines capable of grasping me by the hair and lifting me up when I'm at the end of my strength. - Roberto Bolano

久しぶりの名古屋   

名古屋に行って来た。何年ぶりだろうか。日曜日に出発して、本日帰って来たばかり。うちの家族旅行はまったく計画性がなく、数日前にホテルなどの予約をする始末。今回はなんとか二日前にホテルを確保した。往きも帰りも渋滞に巻き込まれることなく順調に車を走らせることができてよかった。天気も好かったし。

当初は京都に行きたいと思っていたが、妻に「どうせ古本でしょ、ダメっ」と言われてなんとなく行くことになってしまった名古屋。それでも、私の頭ん中には最初から「古本」のことしかない。しかし名古屋の古本事情についてはよく分からないので、ブックオフ中心の作戦を練ってみた。

初日は名古屋港水族館でイルカを見た。そのあと水族館近くにある、名古屋でも一番大きいらしい「ブ」に行ってみた。ミスター・ビーンの輸入盤ビデオが八巻(各二五〇円)揃ってあったのでまとめて買う。むかし同じビデオを買って持っていたが、カビが生えて見れなくなっていたのだ。本ではないけど、これは満足だった。

二日目は東山動物園に向かったが、車の行列がとんでもないことになっていたので、妻と子供を下ろして、別行動をとる(ことに成功した)。それで何件か本屋をまわることができた。私の車にはナビなど付いていないので、地図とにらめっこしながら店を探す。が、それはそれで楽しい。

本日最終日は名古屋城見物をと思って向かったら、入り口の入場券売り場に長蛇の列が。特別展として開かれていた「狩野派と名古屋城四百年」を見てみたいとも思ったが、不条理な人の多さに気持はそこで途切れ、中に入らずそのまま帰ってきたのでありました。妻は「わたしが見た名古屋城は小さかった」とつぶやいていた。

さて、買った本のことも少し書いておこう。相変わらず文庫ばかりだが。

・福永武彦 『ゴーギャンの世界』 (講談社文芸文庫)
・大庭みな子 『浦島草』 (同上)

このあたりの文芸文庫が一〇五円だと買い甲斐がある。

・杉森久英 『天才と狂人の間』 (河出文庫)
・田中小実昌 『ポロポロ』 (同上)
・フィリップ・ロス 『素晴らしいアメリカ野球』 (集英社文庫)
・奥泉光 『鳥類学者のファンタジア』 (同上)

集英社文庫の英米文学は集めたくなる。フィリップ・ロスは、『さようなら コロンバス』はよく見かけるが、『素晴らしいアメリカ野球』はなかなか見ないのでは。

・赤江瀑 『燈籠爛死行 <恐怖編> 赤江瀑短編傑作選』 (光文社文庫)
・フォークナー 『古老たち・熊 他四編』 (旺文社文庫)

フォークナーの旺文社文庫ははじめて見た!

・川口松太郎 『一休さんの道(上)(下)』 (講談社文庫)
・西江雅之 『旅人からの便り』 (福武文庫)
・吉本隆明 『言葉の沃野へ 書評集成・上 日本編』 (中公文庫)
・フィリップ 『小さき町にて』 (岩波文庫)
・戸板康二 『中村雅楽探偵全集4 劇場の迷子』 (創元推理文庫)
・戸板康二 『中村雅楽探偵全集5 松風の記憶』 (同上)
・穂村弘 『にょっ記』 (文春文庫)

単行本も何冊か買った。

・松浦理英子 『犬身』 (朝日新聞社)
・ウィリアム・トレヴァー 『密会』 (新潮社)
・上田三四二 『祝婚』 (同上)
・片岡義男 『音楽を聴く』 (東京書籍)
・J・L・ボルヘス 『創造者』 (国書刊行会)
・『文藝 特集 岡崎京子』 (河出書房新社)

もうすぐ文庫化されそうな気もするが、『犬身』がとうとう一〇五円で手に入った。ウィリアム・トレヴァーは屈指の短篇の名手。『祝婚』の表題作「祝婚」は川端賞受賞作で、大好きな作品。こういう作品が心に響く年齢になったのかと思う。片岡義男の小説は読んだことがないが、英語関係やエッセイなどは結構気に入っている。

明日からまた本の整理が大変だ!

ところで、『夕暮の緑の光 野呂邦暢随筆選』も買えた。岡崎さんの解説がただただ素晴らしいの一言であった。さっそくグラシン紙で大切に包んだところです。
by anglophile | 2010-05-05 04:33 | 古本県外遠征 | Comments(0)