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2014年 08月 19日
野呂邦暢 随筆コレクション 折り込みちらし
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by anglophile | 2014-08-19 18:49 | 読書 | Comments(0)
2014年 03月 14日
野呂邦暢 随筆コレクション
ときどき届く「Publisher's Review みすず書房の本棚」に以下のような近刊告知が!!!
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by anglophile | 2014-03-14 21:06 | 読書 | Comments(0)
2013年 06月 08日
棕櫚の葉を風にそよがせよ
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古本道に勤しんで6年ほど経つが、野呂邦暢の本は本当に見つからない。と嘆息していたら、文遊社から『野呂邦暢小説集成1 棕櫚の葉を風にそよがせよ』という美しい本が出た。当然、買いますね。

冒頭に収められている表題作「棕櫚の葉を風にそよがせよ」がすばらしい。時折挿入される風景描写、情景描写が利いている。巻末を見ると、この中篇は1968年の『文学界』6月号に掲載されたとある。後に単行本『鳥たちの河口』(文藝春秋)に収められた。集英社文庫にも入ったが、どちらも未所持。ところで、「棕櫚の葉を風にそよがせよ」という題名はオーウェルの『葉蘭をそよがせよ』を想起させるが如何に? しかし、オーウェルの小説は邦訳が1984年に出ていて、野呂は80年に亡くなっているから、このタイトルは知らなかったはず。それとも原書で読んでいたのか。だとしてもここまで題名が似ることはないだろうな。

この「棕櫚の葉を風にそよがせよ」を読んでいて気になる一節に出会った。以下引用。
 倉庫からセメントを出して一人で軽トラックに積みこんだ。おくれていたセメントがきのう着いたのだ。この配達をすませたらきょうの勤めが終る。バックミラーに映る物のかげは、輪郭がナイフで刻んだようにくっきりときわだち、色彩も鮮かになるようである。フロントグラスごしに眺める風景はひたすら平凡なのに凸面鏡に反射した世界は浩一の目をみはらせる。また何気なく車の上から振りむくとき、ありふれた街路のたたずまいがはっとするほど彫りの深い翳りを帯びる。無関心に通過した街並が彼の背後にうつるとたちまち異様に華やかな別世界に変貌してしまうようである。
 それは罠にかかっていた獣がばねをはずされた瞬間、満身の力をこめて踊りあがる姿態に似ている。浩一をやりすごすまでは何喰わぬ顔で仮面をかぶっていた世界が、いったん彼の後ろにまわると息をのむばかりに光彩陸離とした世界に変る。だから気づかれないようにすばやく振りかえることが肝腎なのだ。彼をやりすごしたと安心していっせいに身慄いし灰色の埃を払いおとす瞬間をねらって敏捷に首をひねらなければこの世界の本当の顔はのぞけない。しかし振りかえっても一、二秒後には見られたと悟った背後のものどもが正面の世界と同じうす汚れた砂埃に早くもおおわれて、かすかな胸の悪さをもよおさせ始める。もう目に映るのは白っぽい砂塵にまみれた合歓の木の並木がさあらぬていで夏の午後の生ぬるい風に揺れている光景ばかりだ。(45-6頁)
時折このように筆者の視点が登場人物の周囲の風景にフォーカスする。そのフォーカスの強度が尋常ではない。で、何が気になったかというと、この一節と非常によく似たことをホーソーンが書いているのである。
... the best way to get a vivid impression and feeling of a landscape, is to sit down before it and read, or become otherwise absorbed in thought; for then, when your eyes happen to be attracted to the landscape, you seem to catch Nature at unawares, and see her before she has time to change her aspect. The effect lasts but for a single instant, and passes away almost as soon as you are conscious of it; but it is real, for that moment. It is as if you could overhear and understand what the trees are whispering to one another; as if you caught a glimpse of a face unveiled, which veils itself from every wilful glance. The mystery is revealed, and after a breath or two, becomes just as much a mystery as before. (Twenty Days with Julian & Little Bunny, by Papa, p. 73)

...風景というものを鮮明に捉え感じるには、その前に腰を下ろし本を読む、または思索に没頭してみるとよい。というのも、何気ないふりをしてその風景にふと目をやると、そこに無防備になった自然の姿を見つけることができるからだ。そのとき自然はありのままの姿をさらしている。ところがその状態は一瞬のうちに変化し、こちらが見ていることを悟るや自然は姿を変えてしまう。惜しいかな、その一瞬は自然のまごうかたなき真の姿を捉えていた。まるで木々がお互いにささやき合っているのを盗み聞きしたかのよう。ベールの向こうから顔がちらりと見えた瞬間である。しかし意識して捉えようとする目にはその表情は決して見えない。神秘は明かされるが、こちらが息を呑んだ途端、またもとのベールに包まれてしまう。
これはホーソーンのエッセイを集めた、全集版で言えば、The American Notebooks という分厚い巻に入っている文章で、10年前に Twenty Days with Julian & Little Bunny, by Papa というタイトルで単行本化もされている。ホーソーンの小説は苦手だが、この手の随筆は嫌いではない。

アメリカ文学史の源泉に不動の地位を確保している作家の150年前の文章と、その本が手に入りづらい日本のある現代作家の文章との興味深い一致。
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by anglophile | 2013-06-08 18:26 | 読書 | Comments(0)
2011年 09月 27日
古本を買う理由はささやかでいい
日曜日は第11回一箱古本市@源法院の日だった。以下、二日遅れの不束レポートである。

朝、寝坊してしまい、あわてて息子と二人で会場へ。開始数分前に到着して、本を並べる。今回の出店者数は11箱+アルファと、ちょっと少なめ。私の出店位置は門前の入り口のところ。お隣はあうん堂さんとでっぱウサギさんだった。今回はマンガも出してみようということで小さな箱も用意した。全体としては、先週の「ポッケまーと」に出したのが半分くらい、残りは新入荷の本たち。
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マンガは、楳図かずおの『14歳』(小学館文庫、全13巻)の他、『アシュラ』、『ゲームセンターあらし』、『藤子・F・不二雄<異色短編集>』など、個人的に思い入れのあるものを置いた。が、やっぱり売れませんでした。あんまり趣味に走ってもよろしくないことがわかった。それでも何人かの方に手にとって見てもらえただけでもよかった。『14歳』の方は、15年ほど前に朝日新聞で岡崎乾二郎さんが推薦されていて興味を持った。当時は、スピリッツ版(全20巻)で出ていたが、金沢の本屋にもなくて、七尾にあった古本屋で手に入れたのだった。インターネット以前だった時代がなつかしい~!
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天気はちょうどいいかんじで、気持よく店番ができた。お客さんの数はいつもどおりかなあといった具合。でも前半はなかなか本が売れず苦戦。たぶん他の皆さんも苦戦されていたのではないでしょうか。そこで、売れぬなら自分で買おうホトトギス、横のあうん堂さんの箱を見ると、目についた本があったのでさっそく買わせていただく。

・つげ忠男 『つげ忠男劇場』 (ワイズ出版)  ¥500
・浅生ハルミン 『三時のわたし』 (本の雑誌社) ¥1400  ※サイン入り!

『つげ忠男劇場』は絵入りのエッセイ集だった。子供時代の話から始まり興味深い。浅生ハルミンさんの本はほしいとおもっていた本だったので、あうん堂さんに「最後まで残っていたら買います」と予約を入れておき、結局終了間際に購入したもの。サイン入りなので幸せ。ひそかに「ネコのパラパラブックス」シリーズもほしいとおもっているのだが、そこまで行くとあれもこれもということになってしまうので我慢している。このまえ一瞬だけだけど、ケース(2種類×各12冊)ごとほしいとおもったからあぶない、あぶない。ほんとにクリックしそうになった。

この時点ですでに支出が収入を上回っている。気にしない。続いて、常連の上関文庫さんの箱から、ひとまず2冊を選ぶ。

・マラマッド 『魔法のたる』 (角川文庫)
・豊田徹也 『珈琲時間』 (講談社)

おまけしていただき、2冊で400円。『珈琲時間』はそろそろ読みたいとおもっていたのでちょうどよかった。ちなみに、私の箱では『アンダーカレント』を出していました。さて、上関さんの箱には、小林信彦の本が3冊ほどあって、うち1冊が『東京のロビンソン・クルーソー』(初版、帯付!)だった。たしか先月の一箱のときにも出されていたはず。NYANCAFEさんのレポートに写真が載っていた。先月はちょうど東京出張と重なり行けなかったので、臍を噛んでいたのだが、まだ売れてなかったんだ! お訊きすると、先月初めの珠洲での一箱古本市のときから出されているということだった。おそるおそる手にとって見せてもらう。古本初心者の私はもちろん持ってません。中を見るのもはじめてだった。目次にだけサーッと目を走らせたが、濃厚すぎて血圧があがりそう。値段は4800円。決して高くはないはず。ほしいけれど、すぐには決断できないので、興奮冷めやらぬままいったん箱に戻すことにした。うーん、どうしよう、という時間がこのあと続くことになる。

昼が過ぎて、ぽつぽつ本も売れ始める。昼食に境内で売られていた天然酵母パンのサンドイッチを食べた。モチモチしていておいしく、息子も喜んで食べていた。途中、「かいけつゾロリ」が2冊売れた。ゾロリの在庫は着実に減っている。

のんびりした時間が流れている。雨が10粒ほどぱらついたが本降りにはいたらずセーフ。そのあと逆に太陽が顔を出し、日差しがまぶしい。皆さんの箱をもう一巡してみることにする。

常連のおろおろ散歩道さんの新企画は、カバーなしの文庫に、ご自分でカラーコピーされたカバーをかけるというもの。工夫されてますねえ。カバーのない文庫本は売りにくいものだが、オリジナルカバーでそこを補うというアイディアはすばらしい。私も1冊買いました。

・小林信彦 『つむじ曲りの世界地図』 (角川文庫) ¥100

解説を野呂邦暢が書いていたのだ。ナイーヴは私は、小林信彦と野呂邦暢の掛け合わせに感動してしまう。こんな感じの文章。
 「あった」
 古雑誌の山をかきわけて、一冊の「ヒッチコックマガジン」を探しだしたとき、私は正直、胸がときめいた。つい先ごろ、早稲田かいわいの古本屋でのことである。これで「ヒッチコックマガジン」が創刊号から終刊号まで揃ったことになる。「あと一本で千本だ」という武蔵坊弁慶の心境だったのである。値段は八百円。五、六年前までは百円か百五十円で、東京の古本屋に必ず何冊かバックナンバーがつまれていたけれども、このごろはめったに見かけなくなった。やっと見つけてもうやうやしくビニール袋におさめられて、所によっては千円の値段がついていたこともある。編集長の名前は雑誌にのっていないが、目次にはアルフレッド・ヒッチコック責任編集とうたわれており、ニューヨークで刊行されている同名の雑誌の版権を、昭和三四年に宝石社が得たと右隅に刷りこまれている。
 私が手に入れたのは昭和三六年一月号で、Vol. 3, No. 1, 第一八号であった。こういう雑誌がかつて出ていたことを知っている人は少なくなった。ミステリの短篇集といえば早いが中身はそれだけではなくて、映画やジャズ、街の話題などのコラムに特色があり、アメリカ版よりもセンスのゆきとどいた、なかなかに洒落た雑誌である。(中略)ショートショートを星新一、映画については荻昌弘、双葉十三郎、淀川長治、品田雄吉などというそうそうたる顔触れが執筆している。その中に「オーシャンと十一人の仲間」を論じた中原弓彦の名前が見られる。当時「ヒッチコックマガジン」編集長小林信彦の世をしのぶ仮りの名前である。(268-9頁)
古本者の心をくすぐる文章だ。やっぱり野呂邦暢は古本が好きだったんだなあとあらためておもう。こういう文章を読んでしまうと、「ヒッチコックマガジン」とやらをこちらも探したくなってくる。どこにあるのか知らないけれど。あと、「オーシャンと十一人の仲間」って、「オーシャンズ11」のことだろうな、きっと。「オーシャンズ11」だと何のことかわからんが、「オーシャンと十一人の仲間」といわれればああそういうことなのかとわかった気になる。あのジョージ・クルーニーが出ているのはリメイク版だったのか。ちなみに、そのリメイク版は断片的にしか見ていない。

この冒頭部のあと、小林信彦が「ヒッチコックマガジン」編集長になった経緯について少し説明があってから、次のようにつづく。
私が「ヒッチコックマガジン」を蒐集しようと思い立ったのは、本来のミステリより小林信彦の短文を読みたかったからである。のちにこれらは「東京のロビンソンクルーソー」「われわれはなぜ映画館にいるのか」に収録されることになる。(269頁)
むむむむぅ、私も「小林信彦の短文」を読みたくなってきた。そして突然出てくる『東京のロビンソン・クルーソー』という書名。ふつう読みたいとおもっても、この本の場合はそう簡単には手にすることができない。ところが、今はちがう。だって、それは半径5メートルのところにあるではないか。いや、4メートルか。野呂邦暢の文章は一種のお告げだったのだと考えたい。そういうふうに今日はプログラムされていたということだ。ということで、自分を説得することに成功し、終了間際に、上関さんのところに行って、えいやっ!と買ったのだった。伊藤整の文庫とあわせて4000円にしていただいた。感謝です。

最後に、売れた本はこんな感じ。後半少し盛り返すことができた。

・久生十蘭 『十蘭万華鏡』 (河出文庫)
・米澤穂信 『インシテミル』 (文春文庫)
・山口瞳 『男性自身 おかしな話』、『男性自身 巨人ファン善人説』(新潮文庫)
・植草甚一 『日本推理作家協会賞受賞作全集39 ミステリの原稿は夜中に徹夜で書こう』 (双葉文庫)
・江戸川乱歩 『日本探偵小説全集2 江戸川乱歩集』 (創元推理文庫)
・J・コクトー 『ポトマック』 (河出文庫)
・岩阪恵子 『淀川にちかい町から』 (講談社)
・和田誠/川本三郎/瀬戸川猛資 『今日も映画日和』 (文春文庫)
・山口猛編 『松田優作、語る』 (ちくま文庫)
・ヘミングウェイ 『移動祝祭日』 (新潮文庫)
・織田作之助 『世相・競馬』 (講談社文芸文庫)
・佐藤泰志 『きみの鳥はうたえる』 (河出文庫)
・サリンジャー 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』 (白水社)
・小林信彦 『ドジリーヌ姫の優雅な冒険』 (文春文庫)
・ロンブ・カトー 『わたしの外国語学習法』 (ちくま学芸文庫)
・ゾロリ2冊

今回は大きな買い物をしたので、気分はいつもとどことなくちがっていた。家に帰って、ロビンソンのことは妻に内緒にしておこうとおもっていたら、「オトン、今日高い本買っとったよ」と息子がちゃんと報告していた。詰めの甘さを感じた次第。
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by anglophile | 2011-09-27 22:17 | 一箱古本市 | Comments(4)
2011年 06月 18日
今日買った本
今日は昼から香林坊方面へ出張だった。天気がいいので、錆だらけの私用自転車で移動する。仕事の方は17時ちょい前ぐらいに終了。まだ帰りません。オヨヨ書林本店へ。表の100円均一を見たあと、店内に移動し、棚を見ていく。棚の前にも本があふれていた。ふと足元の本の山にあった何冊かを調べてみたら、野呂邦暢の『丘の火』が出てきた。帯と元パラも付いている。本体を函から取り出して裏の見返しを見たら、まだ値付けされていないようだった。でも、ほしい。思い切って、レジにいらっしゃったオヨヨさんに値段を訊いてみた。千円と言っていただいたので、買うことができました。どうもありがとうございました。
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まだまだ帰りません。続いて、オヨヨ書林せせらぎ通り店へ。入り口の100円均一から1冊ジャケ買いする。最近その名前の読み方をおぼえた作家の本。
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表紙の絵は福田豊四郎。淡い感じがなかなかいいです。福田豊四郎の名前は、山本善行さんの本でおぼえた。

いい買い物ができたので、満足して帰宅する。しかし、今日はこれで終わらなかった。夕食の後、家族でブックオフへ。おもうところがあって、野々市店へ行ってみた。
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ちくま文庫の森鴎外全集がずらりと出ていた。全部じゃないけど。実は、数日前に寄ったときに、レジ奥のカートに一目でちくま文庫とわかる塊を見つけたのだった。まだ値付けは終わっていない様子だったので、そのときはあきらめたのだったが、近々棚に並びそうな気配は感じていた。今日あたりどうかなあとおもって行ってみたら、ビンゴだった。ちょうど店員が文庫棚に並べているところで、絶妙のタイミングであった。

まあ、鴎外全集なので地味といえば地味である。とはいえ、代表作が入っている巻はときどき見かけるが、その他のシブい方の巻はそうそう出てくるものではないだろう。おまけに、半額棚に並ぶものとばかりおもっていたので、全部105円だったのは驚きだった。ちなみに、『伊沢蘭軒』の下巻がないのが残念、というか不可解だが、オッケーでしょ。一緒にいた妻はもはやあきれ顔だったが、あとで見つかるよりも、現場を目撃された方が気は楽であ~る。
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by anglophile | 2011-06-18 01:51 | 古本 | Comments(5)
2011年 03月 28日
桜庭一樹の読書術などなど
昨日買った『書肆紅屋の本―2007年8月~2009年12月』をもりもり読む。誤字・脱字の多さが気になるが、それでもとてもおもしろい。出版業界のことは何ひとつわからないので、勉強になる。購入されている本のなかには、知らない本がたくさん出てくるので、その意味でも勉強になる。

平行して、『桜庭一樹読書日記―少年になり、本を買うのだ。』も読む。ますます自分の読書範囲がいかに狭いかがわかるような気がしてきた。桜庭さんは自分の読書趣味が偏らないように工夫をされているのがすばらしい。
 わたしは普段、本や映画を選ぶときに、人が薦めるものをなるべく入れるようにしている。自分の選択だけだとどうしてもかたよって、その場所がせばまっていってしまう。せばまり続けるとちいさくなって完結して、そうなったら、死ぬ。それで、会う人には好きな本やらさいきんのお気に入りなどを聞くくせがあるのだが、ここ一ヶ月ほど忙しくて、部屋にこもるか慌しく打ち合わせするかで、循環していなかった。(144頁)
そんなふうにして、ふだんから付き合いのある編集者の方から薦めてもらったのが、野呂邦暢の『愛についてのデッサン』(みすず書房)だった。この月の日記のタイトルは、「傑作の前を、歌って通りすぎている。」である。
 これはすごい。この世に傑作は存在するが、知らずにその書棚の前をなんども、なんども、なんども、フンフン鼻歌を歌いながら通り過ぎてしまうのだ。(147頁)
ところで、今日仕事帰りに某所に寄ったら、『恋愛小説名作館〈3〉』(講談社)という本を見つけた。そのなかに、この『愛についてのデッサン』の表題作が収められていて、おっ!とおもった。けど、結局買わなかった。

今日買ったのは以下の2冊。

・角田光代 『八日目の蝉』 (中央公論新社) ¥210
・ジャック・マシューズ 『バトル・オブ・ブラジル』 (ダゲレオ出版) ¥210

『八日目の蝉』は次に読む本にしよう。『バトル・オブ・ブラジル』は1989年刊で、若き日の(?)柴田元幸の翻訳だったので買った。なんとなくウィキペディアで柴田元幸を検索したら、なんとこの翻訳書は載っていなかった。文学書ではないので、あまり知られていないのかもしれない。解説も、訳者による解説ではなく、別の映画評論家の方による解説になっている。今では考えられないのではないだろうか。

ちなみに、『未来世紀ブラジル』を監督したのはテリー・ギリアム。小学6年のときに映画館でアニメ『幻魔大戦』を観たが、そのとき同時上映だったのがギリアムの『バンデットQ』だったことはなぜかおぼえている。なつかしいなあ。もちろんモンティ・パイソンも大好きだ。
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by anglophile | 2011-03-28 21:09 | 読書 | Comments(0)
2010年 11月 21日
ブックオフの新サービスを利用してみた
ブックオフでTポイントカードが使えなくなったのは9月だったか。現在はケータイによる「タッチでおトクなメンバーズ」というサービスが始まっている。1回の買い物でスタンプを1個もらえて、10個たまると好きな日を設定してその日一日10%オフになるというもの。その1日買い物パスを「1dayサンクスパス」という。

このサービスが始まった当初、レジでフェリカとかいうモダンな端末機に自分のケータイをあててみたところ反応がなく、結局すべてを手動で行わなければならないことがわかったときはちょっとショックだった。出だしからつまずいたわけだが、それでもなんとか10個スタンプをためることができた。このサービスは、結局たくさん買えば買っただけお得ということになるので、1冊や2冊買っても意味がない。では、たくさん買える状況を作ってみようということで、いつもより気合を入れて少し遠くまで出かけてみることにした。結果は予想を上回り、会心の一日となった!以下、その釣果を。

<単行本など>
・J・M・クッツェー 『少年時代』 (みすず書房)
・W・S・モーム 『月と六ペンス』 (大岡玲訳、小学館)
・Sylvia Plath, The Bell Jar (Harper Perennial Modern Classics)

クッツェーの本は『恥辱』以外はあまり見かけない。大岡玲のモームはなぜか抄訳である。シルヴィア・プラスの洋書がなぜ日本の片田舎の本屋にあるのかを考えてみるのはたのしい。

<中公文庫>
・吉田健一 『怪奇な話』
・森銑三 『偉人暦(上)(下)』
<講談社文芸文庫>
・桐山襲 『未葬の時』
・阪田寛夫 『うるわしきあさも 阪田寛夫短篇集』 
・大庭みな子 『三匹の蟹』
・野呂邦暢 『草のつるぎ/一滴の夏 野呂邦暢作品集』
・佐伯一麦 『ショート・サーキット 佐伯一麦初期作品集』
 
肌色文庫はいいところを拾えた。また、今日はクジラ文庫が豊作の日だった。なかでも念願の野呂邦暢を手に入れることができたのはうれしかった。あの水色のカバーが輝いて見えた。この文庫の解説には著者の写真が載っていて、野呂の顔は初めて見た。

<白水uブックス>
・『フランス幻想小説傑作集』
・『ドイツ幻想小説傑作集』
・『イギリス幻想小説傑作集』
・『アメリカ幻想小説傑作集』
・『スペイン幻想小説傑作集』

こういうシリーズは105円で並んでいるとついつい手が伸びてしまう。

などなどである。ひとまず「1dayサンクスパス」の恩恵に与れたといっていいだろう。
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by anglophile | 2010-11-21 23:31 | 古本県外遠征 | Comments(0)
2010年 08月 29日
一箱古本市に初参加!   
本日、「第1回 一箱古本市@源法院」が金沢で開かれ、出店者のひとりとして参加してきました。暑い日でしたが、充実した一日を過ごすことができました。あうん堂さんをはじめとする実行委員の皆様、お話ししていただいた他の出店者の方々や出品した本を手にとってくださったお客様、本当にありがとうございました。

さっそくですが、今日一日をふり返っておきます。

10時スタートでしたので、9時半頃家を出て、開始10分前に会場入り。受付をされていたオヨヨ書林さんに参加費をお支払いし、箱とそれを載せる台を貸していただく。あと、首からぶら下げる名札をもらいました。この時点で、すでにほとんどの出店者の方々が到着されていたようで、もう皆さん、箱に本を入れておられます。私は出店場所のくじを引いて、入り口付近に店を出させていただく。さっそく、本を箱に並べる作業に入りましたが、これがなかなか難しい。あれやこれやと試してみて、とりあえずなんとなく始められそうな箱になる。このときに「不思議&ヤン・ホルフ」のご主人が、私の並べた本を何冊かぱらぱらとご覧になって、「この値段なら、ぜったいに売れるよ!」と力強い言葉をかけてくださいました。

そうこうしているうちに10時になり、少しずつ会場に人が集まり始める。きょろきょろと他の皆さんの動向をうかがいながら、果たして本が売れるのかどうなのか、そのことばかり考えてました。そうすると、あうん堂さんがいらっしゃり、ご挨拶とお礼を申し上げる。折りたたみ椅子を借りてきて下さるなど、初心者の私に対していろいろと気を遣ってくださいました。ありがとうございました。

開始から10分ほどすると、私の箱の前にも数人のお客様が来てくださる。お客様が本を手にとっているときに、慣れない私は視線をどこにおいていいのか困りました。あっちを向くのも不自然だし、お客様の顔を見るのも失礼だし、なんかきょろきょろキョロキョロしていました。

1冊目が売れてから、2冊目、3冊目と立て続けに買っていただきました。内心ほっとしました。少し落ち着いたところで、店番を妻と子供に任せて、私は気になる他のお店を見に行く。お隣の富山県から出店されていた「上関文庫」さんで以下の2冊を購入。

・永井龍男 『へっぽこ先生その他』 (講談社文芸文庫)
・野呂邦暢 『落城記』 (文春文庫)

ご主人さんにもご挨拶しました。店に戻ると、また何冊か売れていたようです。順調な出だしに小躍りしたくなる。そのあとも、1時間に5~6冊ペースで本が売れました。そのなかでも、女性作家がお好みのお客さんが多いように感じました。以下、印象の残ったお客様について思い出すままに。

・町田康の『告白』を買っていただいた男性の方。「おすすめはないですか?」と訊かれて焦りましたが、『告白』は町田の現時点での最高傑作だとおもってますから、自信を持っておすすめしました。
・『廃墟遊戯』を買っていただいた女性の方。私はずっとむかし「廃墟」というものに少し興味を持ち、何冊か関連の本を買ったりしていました。今回出した『廃墟遊戯』は大判の本でしたが、ずっと探されていた本だったようで、気に入ってくださり本当にうれしかったです。
・南陀楼綾繁さんは幸田文の『月の塵』を買ってくださいました。少しだけでしたが、お話しすることができました。温かい言葉をかけてくださり、とても励みになりました。
・珠洲からいらっしゃっていたBOOKRIUMさん。お声をかえてくださりありがとうございました。私もときどきブログを読ませていただいています。お会いできてよかったです。今後もよろしくお願い致します。
・マッケンの『百魔』を買っていただいた龜鳴屋さん。正直、とても驚いてしまいました。数日前に本の注文をさせていただきましたが、ご本人がいらっしゃっていたとはゆめにもおもっていませんでした。昨日のブログも読んでいただいたようでありがとうございました。
・さきにふれた上関文庫さんは井伏の『厄除け詩集』を買っていただきました。このあと、再度お店で小林信彦の『60年代日記』を買わせていただきました。次回もよろしくお願い致します。

16時終了ということでしたが、お客の流れはそれまでほとんど絶えず、中には明らかに県外からいらしている観光客の方々もいました。上でお名前を挙げた方以外にも、そういう方々ともお話しできて貴重な経験をさせてもらいました。

18時から懇親会があるようでしたが、私は今回は都合がつかず失礼させていただきました。ぜひ次回は参加したいとおもっております。

最後に、今日買っていただいた本を列記します。

・開高健 『ずばり東京』
・小沼丹 『黒いハンカチ』
・庄野潤三 『文学交友録』
・北村薫/宮部みゆき編 『名短篇、ここにあり』
・文藝春秋編 『達磨の縄跳び』
・武田百合子 『富士日記(上)』
・幸田文 『猿のこしかけ』
・須賀敦子 『トリエステの坂道』
・井上靖 『補陀落渡海記』
・法月倫太郎 『一の悲劇』
・澁澤龍彦 『犬狼都市』
・『ちくま日本文学全集 深沢七郎』
・小島政二郎 『眼中の人』
・幸田文 『きもの』
・庄野潤三 『夕べの雲』
・坪内祐三 『考える人』
・内田百閒 『ノラや』
・寺田寅彦 『柿の種』
・内田百閒 『私の「漱石」と「龍之介」』
・東野圭吾 『容疑者Xの献身』
・都築響一 『TOKYO STYLE』
・『ちくま日本文学全集 泉鏡花』
・フィッツジェラルド 『グレート・ギャッツビー』
・金井美恵子 『愛の生活/森のメリュジーヌ』
・藤原新也 『印度放浪』
・『吉行エイスケ作品集』
・トレヴァー 『密会』
・都築響一 『バブルの肖像』
・エティンガー 『アーレントとハイデガー』
・町田康 『告白』
・幸田文 『北愁』
・小林伸一郎 『廃墟遊戯』
・小島信夫 『抱擁家族』
・幸田露伴 『一国の首都』
・ヴォネガット 『タイタンの妖女』
・宮脇俊三 『時刻表2万キロ』
・幸田文 『月の塵』
・『ちくま文学の森 恐ろしい話』
・内田百閒 『百鬼園随筆』
・マッケン 『百魔』
・泉鏡花 『婦系図』
・坂口安吾 『桜の森の満開の下・白痴』
・吉行淳之介 『懐かしい人たち』
・井伏鱒二 『厄除け詩集』
・島田雅彦 『新しいナショナリズム』

以上、計45冊でした。買っていただいた方、本当にありがとうございました。
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by anglophile | 2010-08-29 21:55 | 一箱古本市 | Comments(6)
2010年 04月 24日
「ブ」から「新刊書店」へ   
昼からブックオフへ。特にセール等はやっておらず。一〇五円棚から数冊拾う。

・モーム 『劇場』 (新潮文庫)
・ポール・モラン 『シャネル』 (中公文庫)
・ウィリアム・トレバー 『フェリシアの旅』 (角川文庫)
・矢作俊彦 『ロング・グッドバイ』 (角川書店)
・関川夏央 『石ころだって役に立つ』 (集英社)

そのあと、野呂邦暢『夕暮の緑の光』を手にとりたくて書店に行った。が、まだ入荷してはいなかった。うーん、残念。アマゾンではもう買えるようだが、これは是非手にとってからレジに持っていってお金を払って買いたい本だから。そういう本との初対面に私はこだわるのである。こだわりたいのである。明日再挑戦してもいいが、まだ入っていないだろうなあ。気長に待つことにしよう。

そのほかにも欲しい本があったので買う。

・『現代思想 5月臨時増刊号 総特集 ボブ・ディラン』

これは昨日だったか、林哲夫さんのブログで紹介されていて知った。『ユリイカ』じゃなくて『現代思想』か!とうなってしまった。ふつうじゃありえない組合せである。表紙のデザインもポップで、いつもの『現代思想』と少しちがう顔だ。さすがディラン、か。
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by anglophile | 2010-04-24 23:24 | 古本 | Comments(0)
2010年 04月 20日
待ち遠しい
岡崎武志さんのブログにみすず書房から出る『夕暮の緑の光 野呂邦暢随筆選』の書影が載っていた。今週中に出るということだ。それにしても、なんて素敵なタイトルなんだろう。なんかこう、いろんな想い出がつまっていそうなタイトルである。わけもなく涙が出そうだ。早く手にとってみたいなあ。
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by anglophile | 2010-04-20 01:26 | 読書 | Comments(0)