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2011年 12月 31日
All-year Favourite Books
・Roberto Bolaño, The Savage Detectives
・Mario Vargas Llosa, The War of the End of the World
・小沼丹 『銀色の鈴』
・西村賢太 『小銭をかぞえる』
・『上林暁傑作小説集 星を撒いた街』
・辻まこと 『すぎゆくアダモ』
・クラフト・エヴィング商會 『おかしな本棚』
・鶴ヶ谷真一 『書を読んで羊を失う』
・山田稔 『マビヨン通りの店』
・堀江敏幸 『回送電車』
・須賀敦子 『ユルスナールの靴』
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by anglophile | 2011-12-31 14:52 | 読書 | Comments(0)
2011年 12月 21日
偶然読書二件


あと1ヶ月ほどすると大学入試センター試験というのがやってくる。たまたま手近にあった某予備校のセンター試験用問題集<国語>の問題冊子を捲ってみたら、現代文<小説>の問題文に上林暁の「ちちははの記」の一節が使われているのを発見した。シブいじゃないですか! ときどきこういうささやかな読書の機会が得られるので、現代文の問題チェックは必要である。

マーク型試験だからすべて客観問題なのだが、試しに問題を解こうとしてみたら、選択肢が紛らわしくて頭が混乱した。各設問に付されている選択肢は5つもあるのだ。4つでいいじゃんよ。設問によっては、すぐに答えを出せるものもあるが、ややこしいのは本当にややこしい。ご苦労様です。

そんな問題解決作業とは関係なく、上林暁の文章のすばらしさは十分に堪能できる。問題冊子上ではわずか5頁ほどの抜粋だが、「しだいに彼の一家に腐蝕的な影響を及ぼしてゆくようであった」とか「それらの思い出が明滅するにつれ」などの言葉遣いに私は魅了されてしまった。機会を見つけて、全文を読まねばならぬ。


★★

何とはなしにそこを通ったら、岩波書店の小冊子『図書』が目に入ってきた。せっかくなので目次に目を走らせてみたら、阿部公彦さんが「由良先生とコールリッジ顔のこと」という非常に興味深いタイトルの文章を寄せているのを見つけた。そこを通った自分をまずは褒めてやる。

「由良先生」とあればほぼ由良君美のことであり、阿部さんが由良君美に教えてもらっていたなんて知らなかった。このペアリングは完全に予想外である。タイトルを見て、最初、由良君美についての短い追想かと思ったら、副題に「ワーズワスを教えたい(一)」とあるので、これはどうやら新連載のようだ。楽しみがひとつ増えた。そこを通った自分に拍手を送る。

はたしてこの新連載の主眼は、由良君美なのか、それとも英国ロマン派詩人たちなのか、はたまた両方なのか、この1回分だけからはちょっと判断がつかないように思う。それにしても、あいかわらず視点の置き所が秀逸である。由良君美がワーズワス顔というよりコールリッジ顔の方に近いということを一体他の誰が思いつくだろうか。
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by anglophile | 2011-12-21 23:01 | 読書 | Comments(0)
2011年 12月 19日
Sviatoslav Richter - Grieg, Lyric Pieces No.22, op.43, No.6
リヒテルが弾くグリーグ『抒情小曲集』からのワンピース。


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by anglophile | 2011-12-19 11:32 | 音楽 | Comments(0)
2011年 12月 17日
今日のブックオフ
岡崎武志『古本道入門』(中公新書ラクレ)を読んだら、ブックオフに行きたくなった。今日はそこそこ期待できそうなセールがあったので出動。

・江戸川乱歩 『江戸川乱歩全短篇1』 (ちくま文庫)
・江戸川乱歩 『江戸川乱歩全短篇2』 (同上)
・江戸川乱歩 『江戸川乱歩全短篇3』 (同上)
・フォースター 『眺めのいい部屋』 (同上)
・内澤旬子 『世界屠畜紀行』 (角川文庫)
・堀田善衛 『ゴヤⅡ マドリード・砂漠と緑』 (集英社文庫)
・檀一雄 『花筐/白雲悠々』 (講談社文芸文庫)
・井上靖 『異域の人/幽鬼』 (同上)
・金原ひとみ 『マザーズ』 (新潮社)

まあまあといったところ。
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by anglophile | 2011-12-17 16:42 | 古本 | Comments(2)
2011年 12月 13日
北川健次展 Kenji Kitagawa ― 鏡面のロマネスク
先週の土曜日のこと、先月末から福井県立美術館で始まっている「北川健次展 Kenji Kitagawa ― 鏡面のロマネスク」を見に行きたいが、福井はちと遠いなあ、と窓辺で逡巡していたら、息子がトレーディング・カードを探しに福井のブックオフに行きたいらしい、ということを妻が教えてくれた。息子は、バトルスピリッツ(通称バトスピ)というカードゲームのカード収集家である。聞くところによると、金沢のブックオフやカメレオンクラブ(通称カメクラ)でもカード販売は行っているが、彼が求めているカードは売っていなかったそうだ。これは父親である私の背中を押してくれているのだと解釈し、日曜日は福井行きと相成った。どちらにも興味のない妻の方は留守番を選んだ。

息子と二人で小雨の降る中、一路福井へ。最初は、10時から12時までタイムセール(105円以外の本が半額)を行うという「ブックオフやしろ店」に行った。けっこう大きめの店舗である。開店少し前に到着したが、すでにかなりの数の人が並んでいたのでびっくりした。こういう状況は苦手だが、入場してみると、文学棚はさほど競争率が高くなく、オロオロせずに済んだ。とはいえ、買えた半額セール本は文庫本数冊のみだったので、あまりセールの意味はなかったかもしれない。むしろ105円棚の方が好みの本が多かった。ここでは1時間ほどねばってから、そのあと残りの3店舗を順番にまわることにした。結局一番買えたのは最初の店で、あとはちょぼちょぼといった感じ。買った本は大体こんな感じ。

・遠藤周作 『狐狸庵読書術』 (河出文庫)
・チャールズ・ブコウスキー 『死をポケットに入れて』 (同上)
・アガサ・クリスティー 『アガサ・クリスティー自伝(下)』 (ハヤカワ文庫)
・片岡義男 『ホームタウン東京』 (ちくま文庫)
・滝田ゆう 『泥鰌庵閑話(上)(下)』 (同上)
・武井武雄 『お噺の卵』 (講談社文庫)
・穂村弘 『絶叫委員会』 (筑摩書房)
・倉橋由美子 『迷路の旅人』 (講談社)
・常盤新平 『ペイパーバック・ライフ』 (新潮社)
・マーガレット・アトウッド 『侍女の物語』 (同上)
・ジャネット・ウィンタースン 『ヴェネツィア幻視行』 (早川書房)
・クラフト・エヴィング商會 『じつは、わたくしこういうものです』 (平凡社)

マーガレット・アトウッドとジャネット・ウィンタースンの2冊はうれしかった。両方とも20年以上前の単行本で、なかなかお目にかかれないと思う。さて、息子の方はといえば、お目当てのカードはあったものの、値段が高すぎるので、断念した。というか、機が熟すのを待つよう諭し、断念させた。渋い表情をしていたが、それでいいんだよ。Be patient, my boy, if not ambitious!

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さて、古本遊びもそこそこに、お目当ての北川健次展へと向かう。福井県立美術館はもちろん初めて。場所がちょっとわかりにくかった。藤島高校とか福井大学の近くなんだなあ。

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北川さんの作品に興味を持ったのは、河出文庫から出ている『十蘭万華鏡』の表紙に北川さんのオブジェ(「支那服を着たアリスの肖像」)が使われていたことによる。続く『パノラマニア十蘭』でも別の作品(「パルミジャニーノの青の肖像」)が使われている。ちなみに、一月に出るらしい『十蘭レトリック』の表紙はどうなるのだろうか。興味津々。

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展示作品は200点ぐらい。銅版画、オブジェ、写真とジャンルは多岐にわたる。個人的には、オブジェ作品が好みである。残念ながら、「支那服を着たアリスの肖像」は今回は展示されていなかったが、「パルミジャニーノの青の肖像」の方はあった。オブジェにはガラスやペイントされた板が使われている一方で、金属板やネジや釘などの剥きだしの錆の具合もとてもよかった。

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この日は北川さんと館長との対談も予定されていて、そのためか来館者も多かったように思える。私も最初の30分だけ聴講した。駒井哲郎、棟方志功、池田満寿夫といった錚々たる版画家との出会いのエピソードは興味深かった。銅版画からオブジェの制作に移行していった動機についても話をされていた。本当は最後まで聴きたかったが、息子が渋い表情をしていたので、やむなく美術館をあとにすることになった。ただ、北川さんのご出身が福井であるとはいえ、地方にいながら比較的近場でこのような展覧会に来ることができたのはラッキーだったと思う。

こちらは展覧会の図録。池田満寿夫、飯沢耕太郎、四方田犬彦といった人たちの言葉が掲載されている。

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by anglophile | 2011-12-13 22:11 | 古本県外遠征 | Comments(6)
2011年 12月 07日
Les Negresses Vertes, 'Voilà l'été'

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by anglophile | 2011-12-07 21:01 | 音楽 | Comments(0)
2011年 12月 06日
Why Read Moby-Dick?
この2ヶ月ぐらい、読書といえば、一冊を読み終わる前にまた別の一冊に手を出してしまったりで、なかなか一冊を読了できないでいる。そんな状態の中、なんとか一冊読み切った。薄い本ではあるけれども。
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後年はほとんど不遇のまま、細々と作家人生を送ったメルヴィルのことをときどき考えたりする。単なる冒険海洋小説だったものが『白鯨』へと変化していった過程は興味が尽きない。

印象的だったパッセージを書き留めておく。
   One of the reasons Ahab is such a compelling character is that Melville saw much of himself in the captain's tendency to regard the world symbolically. This is the tendency Melville had to battle throughout his literary career as his metaphysical preoccupations perpetually threatened to overwhelm his unsurpassed ability to find the specific, concrete detail that conveys everything. He also identified with Ahab's outrageous ambition, for Melville was, he at least hoped, creating a "mighty book." (pp. 47-48)
   For me, Moby-Dick is like the Oldsmobile my grandparents owned in the 1970s, a big boat of a sedan with loosey-goosey power steering that required constant back-and-forth with the wheel to keep the car pointed down the highway. Melville's novel is that wandering, oversized automobile, each non sequitur of a chapter requiring its own course correction as the narrative follows the erratic whims of Melville's imagination toward the Pacific. The sheer momentum of the novel is a wonder to behold, barreling us along, in spite of all the divergences, toward the White Whale. (pp. 65-66)
   Moby-Dick is a novel, but it is also a book of poetry. The beauty of Melville's sentences is such that it sometimes takes me five minutes or more to make my way through a single page as I reread the words aloud, feeling the rhythms, the shrewdly hidden rhymes, and the miraculous way he manages consonants and vowels. (p. 73)
   Before we continue, I need to make something perfectly clear. The White Whale is not a symbol. He is as real as you or I. He has a crooked jaw, a humped back, and a wiggle-waggle when he's really moving fast. He is a thing of blubber, blood, muscle, and bone --- a creation of the natural world that transcends any fiction. So forget about trying to figure out what the White Whale signifies. As Melville has already shown in chapter 99, "The Doubloon," in which just about every member of the Pequod's crew provides his own interpretation of what is stamped on the gold coin nailed to the mast, in the end a doubloon is just a doubloon. So don't fall into the Ahab trap of seeing Moby Dick as a stand-in for some paltry human complaint. In the end he is just a huge, battle-scarred albino sperm whale, and that is more than enough.
   This is the fundamental reason we continue to read this or any other literary classic. It's not the dazzling technique of the author; it's his or her ability to deliver reality on the page. (p. 111)
   After Melville's death, his family found a possible clue as to how he managed to survive the forty-year backwash left by the creation of Moby-Dick and, indeed, how he came to write that novel in the first place. Atop a table piled high with papers was a portable writing desk. Taped inside the desk, which had no bottom, was a piece of paper with a motto printed on it: "Keep true to the dreams of thy youth." (p. 126)


著者のインタビュー映像があったので貼っておく。


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by anglophile | 2011-12-06 19:17 | 読書 | Comments(0)