カテゴリ:映画( 6 )

2013年 07月 04日
Patience (After Sebald)
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去年公開されたゼーバルトに関するドキュメンタリー映画 Patience (After Sebald) が下のサイトで見ることができる。『土星の環』が話の中心になっている。日本では公開されなかったのではないか。向こうではDVDも発売されていて、取り寄せようかと思っていたところだった。しばらくはこちらで見ることができるのでありがたい。

http://monoskop.org/W._G._Sebald
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by anglophile | 2013-07-04 06:57 | 映画 | Comments(0)
2011年 02月 24日
海炭市叙景
今日は、昼から『海炭市叙景』を観に行ってきた。すごく良い天気で、外を歩くのにもうコートは不要。宇宙軒で昼食(豚バラ定食)を食べてからシネモンドへ。

少し早めに到着。上演開始時間まで、入り口に置かれている古本コーナーを見る。映画館ということで、映画関連本の出品が多かった。残念ながら、今回はアンテナにひっかかるものがなかった。

さて、観客の方は、私を含めて15人ほど。平日のわりには、多い方ではなかっただろうか。12時40分、私にとっての初シネモンドが開演。「まだ若い廃墟」「ネコを抱いたばあさん」「黒い森」「裂けた爪」「裸足」の順。原作を読んだ人にとっては、18話ある原作から選ばれたこれらの5つのエピソードがどのように展開するのかがひとつの見所だろう。

ロングショットが多用されていたため、1シーンごとに見入った。演じる人たちの一人ひとりの顔の表情もよかった。あと、映画館という場所だったからだとおもうが、登場人物たちが立てる1つ1つの音も際立っていたようにおもう。兄妹がご飯を食べる音、その箸が茶碗にあたる音、老婆がすするみそ汁の音、むっくり太ったネコがキャットフードを食べる音、台所で水をごくごく飲む音、などなど。そして、ラスト直前の路面電車内のシーン。じいんときた。

帰り際にパンフレットを購入した。出費がかさんだものの、これがなかなかよかった。

                        <表紙>
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                       <裏表紙>
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最初、受付にこのパンフレットが置いてあるのを見たとき、なんで地図が置いてあるんだろうとおもったが、よく見たらパンフレットだった。小学館文庫の函館山を写した表紙の印象が強かったので、このパンフレットの表紙には意表をつかれた。この地図みたいなものは、どうやら原作者自身が、小説執筆にあたって作成したものらしい。このことは、パンフレットにあった岡崎武志さんの文章を読んでわかったのだった。
函館文学館には佐藤泰志のコーナーがあり、直筆原稿や遺品、函館の市街地図をベースに佐藤が頭の中で作り上げた「海炭市」の克明な地図があった。(「あなたがたは最後まで立ってはならない」)
そして、この地図(裏表紙の方)に「海炭市叙景」の文字が見える。これは、この映画のポスターやチラシに使われている「海炭市叙景」のタイトル文字にも使われている。
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独特の筆跡だが、けっこう好きな字だ。はじめは映画制作の一環として、どこかのデザイナーが書いたのだろうとおもっていたのだが、まさか佐藤泰志自身の筆跡だったとはおもってもみなかった。このパンフレットも大切に保存したい。
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by anglophile | 2011-02-24 22:56 | 映画 | Comments(0)
2010年 12月 16日
Sketches of Kaitan City
映画『海炭市叙景』が、今週末から北海道・関東を中心に公開される(函館ではもう始まっています)。で、外国人の映画ジャーナリストの方々もきっとコンペとかですでに観ているはずだろうから、英文のレビューもどこかに載っているはずだと思い、ネット上を探してみた。

2つ見つかったので、ちょっとだけここに紹介しておこう。いずれも好意的な評で、まだ映画を観ていない私は早く観たいなあとおもってしまう。ちなみに、英語のタイトルは Sketches of Kaitan City となっている。悪くないが、さすがに日本語の「叙景」という言葉のたたずまいには敵わないだろう。

1つ目は、アメリカのVariety という映画雑誌のHPより。Russell Edwards という人が書いた評。一部を引用する。
Takashi Ujita's script builds in an assured manner, suggesting a combination of Raymond Carver's keen eye for character with Ken Loach's detached compassion for the working classes. Unlike most vignette-driven movies, Kumakiri's film has no weak links; each of these powerful stories (taken from a collection of 18 by Yasushi Sato) acts as a narrative building block.
脚本の良さについて述べた箇所。レイモンド・カーヴァーの鋭い人物描写とケン・ローチの労働者階級を一歩引いた眼で捉える描き方の融合、といったところか。そんな私は、ケン・ローチを観たことがない(勉強不足)。また、オムニバス形式の映画にありがちな関連性の弱さは見られないと書かれている。この点は私もずっと気になってはいて、もともと18あるエピソードから5つだけを抜き出して1本の映画にするというのはけっこう難しいことなのではないかとおもったりするのだが。

このことに関しては、もう1つの英文レビューにも簡単に触れられている。こちらのレビューは、Nicholas Vroman という人のa page of madness というブログ(?)から。
Director Kazuhoshi Kumakiri takes 5 of these stories and crafts an extraordinary downbeat parable of the contemporary disillusion.
この方も、選ばれた5つの挿話が現代の空虚をうまく描き出していると書いている。ということで、この2つの評を読むかぎり、あまり心配はいらないようだ。あとは、自分の眼で確かめてみたい。ちなみに、監督名は Kazuhoshi ではなく、Kazuyoshi が正しいです。
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by anglophile | 2010-12-16 20:40 | 映画 | Comments(0)
2010年 11月 30日
映画『海炭市叙景』
映画『海炭市叙景』の公式サイトをちょくちょく見ているが、劇場公開情報が載っていて、金沢では2月にシネモンドで公開されるらしい。楽しみ。

また、新しく作られた映画チラシには、堀江敏幸が文章を寄稿しているらしい。今の自分には超ストライクな話題なので、読みたい、読みたい、読みたい。シネモンドに行ったらあるかな?
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by anglophile | 2010-11-30 09:32 | 映画 | Comments(2)
2010年 03月 06日
クリストフ・ヴァルツのスピーチ
三月といえば、アカデミー賞の季節である。ここ何年かで映画館で見たのが『イングローリアス・バスターズ』だけという門外漢がああだこうだいってもしかたないのだが、思い入れのあるタランティーノの作品だからなんとかがんばってほしいなあ、と陰で応援している。この映画もいくつかの部門でノミネートされていて、作品賞や監督賞は難しそうだが、クリストフ・ヴァルツの助演男優賞受賞はかなり現実的なようだ。

アカデミー賞の授賞式は来週あるのだが、一足先に前哨戦であるゴールデン・グローブ賞が発表されている。今日スカパーでそのゴールデン・グローブ賞の授賞式が録画放送されていた。お目当てのクリストフ・ヴァルツは最優秀男優賞を受賞していて、その受賞スピーチを見ることができた。それはもうすばらしいスピーチだった!
A year and a half ago, I was exposed to the gravitational forces of Quentin Tarantino. And he took my modest little world, my globe, with the power of his talent and his words and his vision. He flung it into his orbit. A dizzying experience. ... This whole planetary system of collaborators assembled around Quentin. ... I needed reassurance. I was in awe, so I got this reassurance from the wonderful people ...
Quentin made a big bang of a movie, and I wouldn't have dared to dream that my little world, my globe, would be part of that constellation. And now you've made it golden. Thank you very, very much.
タランティーノをひとつの大きな惑星に、そして共演陣や制作陣をその周辺をまわる星々に譬えている。ちっぽけな星であったヴァルツ自身もそのひとつに加えてもらったことに対して感謝しているという内容である。ゴールデン・グローブ(Golden Globe)という名の賞なので、惑星になぞらえたのだろうが、うまいなあと思った。準備してあったのか、それとも即興だったのかはわからないが、どちらにしてもヴァルツの知性を感じた。ますますファンになってしまいそうである。

それにしてもタランティーノは俳優の起用に長けている。一時期低迷していたハーヴェイ・カイテルやジョン・トラボルタを復活させたのもタランティーノといっていいだろう。ティム・ロスやサミュエル・L・ジャクソンも忘れてはならないだろう。サミュエル・L・ジャクソンなんて、『パルプ・フィクション』がなかったら、『スター・ウォーズ』に出演する機会はまずなかっただろう。そして今回のクリストフ・ヴァルツである。アカデミー賞を取ろうと取るまいと、今後ヴァルツが役者としてひっぱりだこになるだろうと私は予想している。この人たちはタランティーノに足を向けて寝ることができないといってもいいすぎではあるまい。

ちなみに、『イングローリアス・バスターズ』の魅力については内田樹さんがすでにブログで書いていらっしゃる。さすがの分析である。興味のある方はこちらからどうぞ。
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by anglophile | 2010-03-06 03:41 | 映画 | Comments(0)
2009年 12月 13日
『イングロリアス・バスターズ』
『ユリイカ』の今月号はクエンティン・タランティーノを特集している。私の知るかぎり、『ユリイカ』がこの異才について特集を組むのはこれが初めてのはずである。遅きに失した感がある一方で、もしかしたら今がその時機なのかもしれないとも思った。最新作『イングロリアス・バスターズ』についてはまったく知らなかったのだが、「この映画はきっと面白いにちがいない」という自分の直感にしたがって、本日映画館でその最新作を観てきた。『ユリイカ』を買うのと同じくらい、映画館で映画を観るのも久しぶりだった。二時間半を超える上映時間だったが、まったく退屈しなかった。ブラッド・ピットも良かったが、ナチス高官を演じるクリストフ・ヴァルツがすばらしかった!カンヌで最優秀男優賞を受賞したのもうなずける演技だった。

さて、映画自体をあまり観なくなったこともあるが、タランティーノのここ十年ぐらいの作品にはほとんど注目していなかった。『キル・ビル』すら見ていない。私にとってのタランティーノ映画といえば、『レザボア・ドッグス』(一九九二年)、『トゥルー・ロマンス』(脚本のみ:一九九三年)、そして『パルプ・フィクション』(一九九四年)の三作で止まっている。しかし、この三作から受けた衝撃は今でもおぼえている。当時イギリスにいたのだが、『レザボア・ドッグス』はその有名な暴力シーンのため、ビデオでの発売が禁じられていて、映画館でしか見ることができなかった。だから、ロンドンなどでは『レザボア・ドッグス』のみを上映している映画館があった。今もそうなのだろうか。(ちなみに、『エクソシスト』も同じような理由で、『エクソシスト』専用の映画館があった。)『パルプ・フィクション』は三回見た。当然、字幕などないから、セリフが分からないところがたくさんあり、Faber and Faber から出ていた脚本集を買って繰り返し読んだこともあった。自分のなかでは、『イングロリアス・バスターズ』はこれらと同じくらい楽しく観ることができた。
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by anglophile | 2009-12-13 02:25 | 映画 | Comments(0)