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古本万歩計 Of what is lost, all I wish to recover is the daily availability of my writing, lines capable of grasping me by the hair and lifting me up when I'm at the end of my strength. - Roberto Bolano

第3回 BOOK DAY とやま

9月28日(日)に「第3回 BOOK DAY とやま」がありました。遅まきながら、以下その記録です。

4月にあった第2回の会場はグランドプラザだったが、今回は昨年の1回目と同じ市民プラザ前に移動して行われた。出店数はこれまでよりは少なめの25箱。一方、その横にある芝生スペースでは、県内外の古本屋さんの古本販売が展開されていた。富山県内の古本屋でまだ訪れたことのない店もあり、そのうち行ってみたいとも思った。
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出店場所はあらかじめ決められていて、私の場所は一番奥のスペース。前回から半年も経ていないので、出品本が不足したまま参加することになってしまった。3分の1ほどは4月の売れ残りを再出品。どっちかというと、3冊500円コーナーにがんばってもらおうという魂胆である。
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同じテント内でご一緒したのは富山のアーロン・セワードご夫妻&幼き息子さん。奥さんが富山の方で、旦那さんのアーロンさんがイギリスの方だった。アーロンさんは水彩画を描かれている芸術家で、ご自身の作品を出品されていた。「アーロン・セワード」という名前を聞いて、どこかで聞いた名前のような気がしたが、すぐにずっと前にブックエンドで水彩画のワークショップをされた方だと気づいた。古本売りに来たのが、予想外の英語モードに突入してしまい、なんかへんな感じになってしまう。アーロンさんは日本語はあまり話せないようで、私のような半端英語話者でも、英語を話せる相手がいるのはありがたい、と奥さんがおっしゃっていただろうか。いろんな出会いがあるものだなと今さらながらに思ったものだ。

アーロンさんとの会話はいろいろと刺激になりました。彼がキンドルをおもむろに取り出し、どんな本をダウンロードしているか見せてくれた。アーロンさんは相当な読書家であることがすぐわかった。例えば、ゼーバルトの話になって、小説はもちろんのこと、その詩まで愛読されているようだった。それ以外にも私の知らない作家を薦めてもらった、が、その名前を忘れてしまった。フィリップなんとかという人だったと思うが。その他に、ボラーニョの『2666』(英訳版)が入っているのを発見して大興奮。自分も5年前に英訳版で読んだことを伝えたりしながら話は盛り上がった。そんなアーロンさんには、私の一箱にアリス・マンローの『イラクサ』があるのを見つけて買っていただいた。そしてそれを奥さんのお母さんにプレゼントされたのだった。100点満点のプレゼントのしかた。私も誰かに本を贈りたくなった。手帳とかでもいいな。さしあたり、瀟洒なデザインの Faber & Faber Poetry Diary あたりをその候補にしてみたい。

ときどきヒマになるので、掘り出し物をもとめて自分のブースから離れてふらふらしてみる。今回は洲之内徹『気まぐれ美術館』(新潮文庫)200円を買うことができた。古本ではないが、前回買えなかったピストン藤井さんの『別冊 郷土愛バカ一代! ~ホタルイカ情念偏~』が増刷されていたので無事入手。号外もいただきました。あと、一箱常連のでっぱさんが「でっぱウサギ通信」を発行されていてこれもいただいた。知りませんでした。すでに3号まで出ており、かなり中身の濃い内容。巻頭を飾る「懐かしの本屋さん」を通読すると、でっぱさんが少年時代にいかに本を愛でるようになったかがわかって、本とは無縁の少年時代をすごした私としてはうらやましいかぎり。次号を楽しみにしております。

結局売れた本は50冊くらい。けっこう高めの本が売れたり、まとめ買いをしてくださる方がいらっしゃったので売上はまずまずでした。『夢声戦争日記』や十蘭の文庫をまとめて買っていただいたお二人の中年紳士のことは印象に残っている。『夢声戦争日記』は第1巻が欠けていて申し訳ありませんでした。

<売れた本(3冊500円コーナーを除く)>
・高田宏編 『「あまカラ」抄 全3巻』 (冨山房百科文庫)
・徳川夢声 『夢声戦争日記(二)~(七)』 (中公文庫)
・ブラックウッド 『秘書綺譚 ブラックウッド幻想怪奇傑作集』 (光文社古典新訳文庫)
・宇佐美承 『池袋モンパルナス』 (集英社文庫)
・ブローティガン 『西瓜糖の日々』 (河出文庫)
・由良君美 『みみずく偏書記』 (ちくま文庫)
・栃折久美子 『製本工房から』 (冬樹社)
・都築響一 『TOKYO STYLE』 (ちくま文庫)
・アリス・マンロー 『イラクサ』 (新潮社)
・四方田犬彦 『月島物語』 (集英社文庫)
・佐々木マキ 『うみべのまち』 (太田出版)
・ロバート・サブダ 『不思議の国アリス』 (大日本絵画)
・ラヴクラフト 『ラヴクラフト全集1』 (創元推理文庫)
・川崎賢子編 『久生十蘭短篇選』 (岩波文庫)
・久生十蘭 『久生十蘭ジュラネスク』 (河出文庫)
・久生十蘭 『十蘭レトリカ』 (河出文庫)
・久生十蘭 『十蘭万華鏡』 (河出文庫)
・久生十蘭 『湖畔/ハムレット 久生十蘭作品集』 (講談社文芸文庫)
・堀江敏幸 『回送電車』 (中公文庫)
・堀江敏幸 『回送電車Ⅲ アイロンと朝の詩人』 (中公文庫)
・バルガス=リョサ 『緑の家(上)(下)』 (岩波文庫)
・東浩紀 『サイバースペースはなぜそう呼ばれるか+ 東浩紀アーカイブス2』 (河出文庫)
by anglophile | 2014-10-03 23:16 | 一箱古本市 | Comments(0)