2013年 08月 10日
東京の古本まつり②
東京滞在2日目。午前8時過ぎにホテルを出て、まだ開店していない古本屋の前を指をくわえて通り過ぎる。もったいないなあ、せっかく神保町に宿を取ったのに。でもまあ、出張先が市ヶ谷なので、神保町からは近くて便利でしょ、と自分に言い聞かせた。仕事の方は地味な講義だったが、得るものは多かった。講師の方は著名なアメリカ文学の翻訳家で、某著書から推測するに怖い人かなあと思っていたが、その話しぶりからするとなかなか温厚な方のようだった。読んだ英文のなかに Zadie Smith のエッセイがあって、これがとてもいい文章だった。名前しか知らなかったこの作家に興味を持つことができただけでも収穫。新潮クレストブックスから翻訳も出ていたのだなあ。今後チェックしなければ。

c0213681_20581712.jpgさて、仕事が終わり、あとは残り時間を利用して見聞を広めることとしよう。まず、高田馬場のBIGBOXへ。事前の即売展情報によって、ここで今日から「古書感謝市」が始まっている。前にも一度来たことがあったが、そのときは1階玄関前の広場で行われていた。今回はビル9階の特設会場で開かれ、暑くなくて好都合。会場にはほどよい数のお客さん。それにまじって私もしばし古本タイム。昨日の池袋よりは少し規模が小さいが、これくらいがちょうどいいかなあという感じだった。平台と本棚のほかに、平台の下にも本が置かれていた。下にある本はおいておいて、とりあえず目線を上に保ち見ていく。「古書現世」から大阪圭吉『とむらい機関車』『銀座幽霊』(創元推理文庫)各250円、小林信彦『袋小路の休日』(中公文庫)150円、獅子文六『胡椒息子』(角川文庫)150円、田中小実昌『コミマサ・シネノート』(晶文社)600円、保昌正夫『保昌正夫一巻本選集』(河出書房新社)1200円を買う。買いやすい値段がありがたい。それから、平台の下にある本を見ていくと、「安藤書店」のところでイヴリン・ウォー『ブライヅヘッドふたたび』(筑摩書房)500円を発見。これはうれしい。復刊版も持っているが、やはり元本の重みはちがうね。ちょうど50年前の本だ。

c0213681_23151244.jpg会場をあとにして、次の行き先をどうしようかと考える。早稲田の古本屋をまわるというのも悪くない考えだったが、飛行機の時間を考えたら、そんなにたくさん見て回ることはできない。そこで、新宿の京王百貨店で同じく今日から始まっている「東西老舗大古書市」に行くことにする。ここはデパート内なので、ものすごい人の数。出店数も昨日の池袋よりも多かったように思う。初日だけど、もはや掘り出し物なんて望めそうにない。肩の力を抜いて見て回る。何冊か買おうと手にした本があったが、いやでも今買わなくてもいいだろ、と思いとどまって棚に戻したりした。結局、ペーパーバックが少しまとまって出ていた「文雅新泉堂」から、Carson McCullers, The Member of the WeddingThe Ballad of the Sad Cafe and Other StoriesThe Heart is a Lonely Hunter (Bantam Books)各200円の3冊を購入した。60年代に出たバンタムのペーパーバック。読まれた跡がくっきりと皺になって背に刻まれている。日本の文庫本でこれくらいくたびれていたら買う気が起こらないが、むしろペーパーバックだとそういう読み込まれた跡が残っている方が似合っているように感じる。こんな感じで、最後はやや尻すぼみだが、もう必要と思われる古本摂取量はとうに超えたので、これにて終了となった。今回は複数の古本まつりがうまい具合にかぶってくれたので、ちょっとこれまでにないくらいの濃い時間をすごすことができた。しばらくは古本屋に行かなくても生きて行けそう。たぶん。
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by anglophile | 2013-08-10 02:12 | 古本県外遠征 | Comments(0)


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