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古本万歩計 Of what is lost, all I wish to recover is the daily availability of my writing, lines capable of grasping me by the hair and lifting me up when I'm at the end of my strength. - Roberto Bolano

BOOK DAY とやま

幸い、朝方に中継されるコンフェデレーション・カップのメキシコ戦を見ようなどという気も起こらず、十分に睡眠時間を取って、体調は万全、遅刻の心配もなし。ということで、昨日は富山で初開催された一箱古本市に参加してきた。暑い日ではあったが、文句を言ってはいけませんね、最高の一日となりました。オヨヨさん、上関さん、そして初めてお会いしたブックスシマさんはじめ、スタッフの方々にも大変お世話になりました。コインパーキングを案内してもらったり、本のかたまりを運搬してもらったりと本当にありがとうございました。

会場は、総曲輪通りの西端を抜けたところに位置する富山市民プラザというところ。富山駅にもまあまあ近い。プラザ前にこじんまりとした広場があって、そこにテントをたてて2店舗が共同で出店するという形。出店数は40を超えていたようなので、けっこうぎゅうぎゅうづめだったが、そのぶん熱気が感じられてよかったと思う。到着後、上関さんに受付をしてもらい、京都からいらっしゃったダンデライオンの中村さんに紹介していただく。2年前に訪れた名古屋の一箱古本市に中村さんが出店されていて、そのときにちょっとだけ話をさせていただいたのだった。あのときの一箱の中身の濃さには驚嘆したものだった。今回はけっこう話をさせていただき、いろいろ勉強になりました。「本好き」を極めていらっしゃる方はすごいですね。いずれ京都のお店を訪れたいと思いました。
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市民プラザは大通りに面していて、月に一度こういう催し物が開かれているそうで、そのため食べ物の屋台テントも出ていて、昼食に困らないのはありがたい。おろおろしながら準備を済まして、開始時間までのあいだ、皆さんの準備の様子を見に行く。金沢からはあうん堂さんやNYANCAFEさんご夫妻、源法院のメンバーの方々がたくさんいらっしゃていて、皆さんにご挨拶申し上げる。出店用の箱も貸していただきありがとうございました。地元の古本よあけさんもいらっしゃっていて、お目当ての「古本よあけ通信 vol.18」をさっそくいただいた。私もこういうフリーペーパーみたいなの作ってみたいけど、続けられそうにないのでなかなか作るまでにはいたらない。
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出店者はくじを引いて店舗場所を決める。私は奥の方のテントになった。同じテントには金沢の一箱にも出店されているADLIFTさんがいらっしゃり、今回は屋号を「かえる書林」に変えて出店されていた。建築関係の本とシブいCDを出品されていた模様。私の方はといえば、いつも通り文学中心。半年ぐらいのあいだにたまった本を出品した。
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始まってほどなくして、龜鳴屋さんと中日新聞のMさんがいらっしゃったのでびっくり。何でも龜鳴屋さん関係の重要な取材があるということで足を運ばれたようだった。Mさんとは3月の山本善行さんのトークイベントのときにお会いしたが、龜鳴屋さんとは2年ぶりくらいだったので、またお目にかかれてほんとによかった。新しい本を見せてもらいに、近々またお邪魔させていただきます!

新しい試みとして「3冊500円コーナー」を設置してみることにした。前日、部屋をガサコソしていたら、モンティ・パイソンの下敷きが出てきたので、身長196cmのジョン・クリーズに「3冊500円」と言わせてみたが、反応があんまりなかったのでちょっと残念。この下敷きは非売品だが、もし売って下さいというお客さんがいたらどうしよう、などという心配は無用であった。
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反応がなかったモンティ・パイソンに比べ、今回一番ウケがよかったのはこちらのCDだった。ちょっとアクセントになればと思い、持っていったのだが、かなりのお客さんが反応してくれてうれしかった。手に取られるお客さんの反応をいちいち伺うのがおもしろかった。売れなくても別にいいのだけどと思っていた後半、年配の男性の方が買っていかれた。
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いや、でも本の方も本当にたくさん買っていただきました。とにかくお客さんが多くて多くて。流れが途切れた合間を利用して、数分間だけ他のお店を見に行くのが精一杯。ヒマだったらこっそり抜け出してブックエンドに行ってみようなどと作戦を立てていたのだけれど、ぜんぜんそんなふうにはならなかった。わずかな時間を利用して、ちょっとずつ全体を把握することに努め、自分なりに厳選して買った本は以下の3冊。
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ロッジ(600円)がでっぱさんから、田中小実昌(800円)がダンデライオンさんから、木山捷平(1300円)が北條さん/夏葉社・島田さんの箱から。値引きもしてもらったりしてありがとうございました。でっぱさんの箱には、他にジェニファー・イーガンの新刊があって興奮した。さすがでございます。あれはやはり買っとくべきだったかなあ、と後悔している。あと、岐阜の徒然舎さんのところにあった細野晴臣の文庫もほしかったけど、次に行ったときにはもう売れていて後悔。やっぱり、そうだよなあ。

時間はあっというまにすぎ、いつのまにか終了の16時になった。売り上げは絶好調で、予想をはるかに超える。40冊以上売れた「3冊500円コーナー」が大健闘だったが。それ以外の本も好調で、買ってもらえるとうれしいと思っていた本がよく売れた。藤子不二雄の漫画もやはり人気があり、特に『魔太郎』を買ってくれたおばあさんと『カンビュセスの籤』を買ってくれた少年のことが強く心に残っている。あと、最後にADLIFTさんが『野呂邦暢作品集』を男前な感じで買って下さった。いい本がほしかった人のもとにおさまっていくのがうれしいですね。

3冊500円コーナー以外で売れた本の記録はなんとか取っていたので以下それらを記しておく。

・常盤新平 『銀座旅日記』 (ちくま文庫)
・ガルシア=マルケス他 『エバは猫の中 ラテンアメリカ文学アンソロジー』 (サンリオ文庫)
・ガルシア=マルケス 『百年の孤独』 (新潮社)
・武田百合子 『富士日記(上)(中)(下)』 (中公文庫)
・出久根達郎 『作家の値段』 (講談社)
・ジョージ秋山 『WHO are YOU 中年ジョージ秋山物語』 (小学館)
・都築響一 『TOKYO STYLE』 (ちくま文庫)
・開高健 『開高健全ノンフィクション(5) 言葉ある曠野』 (文藝春秋)
・ブラッドベリ 『恐竜物語』 (新潮文庫)
・吉田秀和 『世界のピアニスト』 (新潮文庫)
・藤子・F・不二雄 『ドラえもん 巻頭まんが作品45』 (小学館)
・小津安二郎 『僕はトウフ屋だからトウフしか作らない』 (日本図書センター)
・台所でよむ村上春樹の会 『村上レシピバリューセット』 (飛鳥新社)
・阿部了/阿部直美 『おべんとうの時間』 (木楽舎)
・小沼丹 『黒いハンカチ』 (創元推理文庫)
・堀江敏幸 『もののはずみ』 (角川文庫)
・ボルヘス 『幻獣辞典』 (晶文社)
・カズオ・イシグロ 『夜想曲集』 (早川書房)
・佐藤雅彦編 『教科書に載った小説』 (ポプラ社)
・栗原亨 『廃墟の歩き方 探索篇』 (イースト・プレス)
・藤子不二雄A 『魔太郎がくる ①~⑧』 (中公文庫)
・『ドラえもんひみつ道具大事典』 (小学館)
・久生十蘭 『顎十郎捕物帳』 (朝日文庫)
・手塚治虫 『人間昆虫記』 (大都社)
・佐藤泰志 『そこのみにて輝く』 (河出文庫)
・『つげ義春作品集』 (日本文芸社)
・久世光彦 『蕭々館日録』 (中央公論新社)
・大竹昭子 『須賀敦子のヴェネツィア』 (河出書房新社)
・『向田邦子 暮しの愉しみ』 (新潮社)
・荒川洋治 『日記をつける』 (岩波現代文庫)
・深沢七郎 『言わなければよかったのに日記』 (中公文庫)
・山田正紀/恩田陸 『読書会』 (徳間文庫)
・角田光代 『いつも旅のなか』 (アクセス・パブリッシング)
・深沢七郎 『盆栽老人とその周辺』 (文春文庫)
・吉田篤弘/フジモトマサル 『という、はなし』 (筑摩書房)
・多和田葉子 『光とゼラチンのライプチッヒ』 (講談社)
・藤子不二雄 『藤子不二雄SF全短篇 第1巻 カンビュセスの籤』 (中央公論社)
・車谷長吉 『文士の魂・文士の生魑魅』 (新潮文庫)
・マッケン 『白魔』 (古典新訳文庫)
・ブローティガン 『愛のゆくえ』 (ハヤカワepi文庫)
・西崎憲編訳 『短篇小説日和』 (ちくま文庫)
・TOWER RECORDS 『NO MUSIC, NO LIFE. AD collective』 (マガジンハウス)
・奥泉光 『シューマンの指』 (講談社)
・エドワード・ゴーリー 『ギャシュリークラムのちびっ子たち』 (河出書房新社)
・松下竜一 『汝を子に迎えん 人を殺めし汝なれど』 (河出書房新社)
・タモリ 『TAMORI』 (ソニー)
・ボルヘス/カサレス 『ボルヘス怪奇譚集』 (晶文社)
・『野呂邦暢作品集』 (文藝春秋)
・田中小実昌 『世界酔いどれ紀行ふらふら』 (知恵の森文庫)

売れた冊数を数えてみたら、100冊を超えていたことがわかった。プラスチックケースが軽くなってブラボー。この達成感、プライスレス。

次回、源法院にて。
Commented by 古本よあけ at 2013-06-25 20:05 x
日曜日はお疲れさまでした。忙しくされているように聞いていましたが、お元気そうでなによりでした。
100冊越えはすごいですね! 『エバは猫の中 ラテンアメリカ文学アンソロジー』も欲しかったなあ。ざんねんむねん。
龜鳴屋さんは、HPから私も少し本を買っているので、是非ご本人にお会いしてみたいですね。
Commented by anglophile at 2013-06-26 02:08
よあけさん、コメントありがとうございます。日曜日は楽しかったですね! 参加してほんとによかったです。この日曜日だけ仕事がなくて空いていたというのが、今思うとワンチャンスをものにできた感があります。

『エバは猫の中』は開始早々に売れてしまいました。私もなかなか他の方の箱を見る余裕がなかったのですが、いい本がまだまだあったんだろうなあと思う一方で、でもこういうのはちょっと物足りないくらいが次への活力になると考えています。こういう情熱の保持の仕方は大切ですよね。

「古本よあけ通信」の方、楽しく読ませていただきました。紹介されていたお店には、魚津のブックオフに行ったときに寄ってみようと思います(笑)。なかなか行けないのですがね。
Commented by でっぱウサギの本 at 2013-06-28 20:31 x
先日はお疲れ様でした。でっぱウサギでございます。bookdayとやま、会場に着いて規模が大きいのでびっくりしました。お客さんも多くてまたびっくり。振り返ってみると、ブックエンド・チームのがんばりによるところが大きいなあと思いましたね。講演会の段取りもよく考えられていて、大成功でした。
ちなみに今日の北陸中日新聞に夏葉社・島田さんと亀鳴屋さんの対談がどおーんと載ってましたよ。
イーガンはトヨザキ社長熱烈おすすめ本でした。最初はSF作家の娘かなと思ってしまいました。
私は今度の日曜も一箱でございます。そろそろ(すでに)家族に呆れられてます。
Commented by anglophile at 2013-06-29 08:38
でっぱさん、どうもです。講演会のことまで書く余裕がなかったのですが、楽しく話を聴くことができました。特に北條さんの後半の司会進行が絶妙だと思いました。
中日新聞、そういえば28日に掲載とおっしゃっていましたが、すっかり忘れている私。ネットで検索したら記事がアップされていました! 「続き」が来週載るようです。
イーガンは私もそちらの情報筋で読んで気になっていました。私もときどきグレッグ・イーガンと混同してしまいます。
日曜日はまた暑くなるようですね。「そろそろ(すでに)家族に呆れられて」いるでっぱさんを私は応援しています!!
by anglophile | 2013-06-24 23:46 | 一箱古本市 | Comments(4)