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古本万歩計 Of what is lost, all I wish to recover is the daily availability of my writing, lines capable of grasping me by the hair and lifting me up when I'm at the end of my strength. - Roberto Bolano

9月前半の古本と読書

今回は試験的にまとめて古本日記をつけてみた。そしたら、けっこう長くなってしまった。

<9月某日>
わけのわからぬ仕事がメジロオシの9月がはじまり、ココロはイカスミのごとくマックロケ。精神が不安定になってきたので、8月末の「今日のブックオフは一味ちがった」で気を良くした野々市のブックオフへ。なにかおこぼれはないかしらということで、音楽棚を流していたら、赤いカバーの本が目に留まった。宮本浩次『明日に向かって歩け!』(集英社)800円を捕獲。その数冊隣に同氏の『東京の空』(ロッキング・オン)800円もあったので、こちらもすかさず手に取る。よし、今日はこれで十分だ。しかし、念のために105円コーナーの音楽棚を調査してみたら、さらに『風に吹かれて エレファントカシマシの軌跡』(同前)があったから油断は禁物。きっと誰かがまとめて売ったのだろう。惜しむらくは、これら3冊に巻かれていたはずの帯がなかったということ。カバーに残るかすかな日焼けのあとで帯があったことがわかるのだ。不幸なことに、この店舗では持ち込まれた本に付いている帯は悉く捨てられてしまうことになっている。実に惜しいが、それは贅沢な話かもしれない。イカスミは完全に払拭された。

<9月某日>
最近はあんまりいい本が見つからない鳴和のスーパーへ。佐多稲子『愛とおそれと』(講談社文庫)をかろうじて拾って早々と退散。

<9月某日>
8月末に発売されたはずの東雅夫編『幻想文学講義:「幻想文学」インタビュー集成』(国書刊行会)を手にとってみたいが、KaBosや明文堂には置いてなかった。最終手段として、仕事場に出入りしているうつのみや書店のO氏に注文しておいたのだが、それが届いた。あわせて国書刊行会40周年記念の小冊子『私が選ぶ国書刊行会の3冊』も取りよせてもらった。国書刊行会への熱い想いにあふれており、こちらにまで感染しそう。

<9月8日(土)>
外食後、ブックオフ北町店と諸江店へ。前者は「本全品20%引き」らしい。これらの店で、開高健監修『洋酒天国1 酒と女と青春の巻』(新潮文庫)色川武大『生家へ』(講談社文芸文庫)白川静『文字逍遙』(平凡社ライブラリー)殿山泰司『JAMJAM日記』(ちくま文庫)米原万里『打ちのめされるようなすごい本』(文春文庫)を各105円で買う。

<9月9日(日)>
早朝から夕方まで小松へ出張。空き時間を利用して、ブックオフ小松店へ。もうね、それだけが愉しみなのよ。三島靖『木村伊兵衛と土門拳 写真とその生涯』(平凡社ライブラリー)佐藤良明『ラバーソウルの弾みかた ビートルズと60年代文化のゆくえ』(同)片岡義男『彼らと愉快に過ごす 僕の好きな道具について』(小学館)などを各105円で手に入れることができた。片岡義男の小説は読んだことがないが、エッセイは何冊か読んでいる。はじめて見た『彼らと愉快に過ごす』は1987年に出た本。なかなか凝った装幀だ。このあと、汗だくになりながら出張の続き。でも、いい本が買えたのでよしとする。

<9月12日(水)>
帰りに新刊書店へ。楽しみにしていた『本の雑誌』(本の雑誌社)。普段は立ち読みですましているけど、読みたい記事や特集がかぶると買うことにしている。10月号の特集は国書刊行会。この出版社ならこんな本も出してくれるだろうという願望が詰まった「この本を出してくれえ!」では、山崎まどかがデヴィッド・フォスター・ウォレスの Infinite Jest を挙げている。個人的には、その前にウィリアム・ギャディスでしょ、とおもう。その他、講談社文芸文庫の新刊から、葛西善蔵『贋物・父の葬式』『個人全集月報集 安岡章太郎全集 吉行淳之介全集 庄野潤三全集』を買う。全集の月報を1つにまとめて文庫で出す、というのはおもしろいアイディアだとおもう。

<9月13日(木)>
ここ最近は梅崎春生をずっとちびちび読んでいた。読んだのは、『ちくま日本文学全集 梅崎春生』(筑摩書房)『春日尾行』(近代生活社)の2冊。どちらも絶品であった。一番好きなのは「春の月」だろうか。登場人物が次から次へと変わっていくところがとてもいい。いわゆる映画的手法のひとつだろうとおもわれる。書き出し部分もなかなかよかった。夜、だれかのツイッターで紹介されていた「”あなたってる”という言葉の意味」というのをやってみた。「古本万歩計ってる」と入力してみて、その結果に大爆笑。その【言葉の意味】は、(1)すっかりやる気を失っているさま、(2)裏表が激しいようす、(3)心が病んでいる状態。(1)は大正解、(2)はそうかも、(3)は半分正解といったところか。

<9月14日(金)>
用事はないけど、香林坊へ。いや、ほんとはうつのみや本店に寄りたかったのだ。大型書店のどこにも見当たらない丸谷才一/池澤夏樹・編『怖い本と楽しい本 毎日新聞「今週の本棚」20年名作選(1998年~2004年)』(毎日新聞社)があるかどうかを確認しに。で、入荷しているかどうか調べてもらったら、ちゃんとありました。ビューティフル。これを確保してから、外国文学棚もチェック。興味をそそる新刊が何冊も並んでいる。それほど広い棚ではないけれど、いい品揃えだとおもった。アチョーッと気合いを入れて、その中から一番分厚いC・R・マチューリン『新装版 放浪者メルモス』(国書刊行会)をレジに持っていく。いつのまにか国書刊行会熱に罹っていたようだ。ピースしながら退店。フィーバー状態のまま、さらにその帰りに某所に寄ると、平凡社ライブラリーが大量に放出されているのを発見。が、学術系が多いので、興味を惹かれるものはあんまりないんだよなあ。おまけに105円ではなくて半額なのが惜しいよなあ。それでも、2冊だけ買うことにする。チャールズ・ラム『エリアのエッセイ』735円と多田智満子『神々の指紋 ギリシア神話逍遥』630円。それと、105円棚にあった村上春樹/安西水丸『ランゲルハンス島の午後』(光文社)も買った。言い訳を考えながら、帰途につく。

<9月16日(日)>
外食後、ブックオフ北町店と諸江店へ。これらの店で、田中小実昌『新編 かぶりつき人生』(河出文庫)出久根達郎『作家の値段』(講談社文庫)一海知義/林香奈/筧文生『漢語的不思議世界 空巣老人と男人婆』(岩波書店)山口瞳『草競馬流浪記』(毛筆署名・落款入り、新潮社)ヤスミナ・カドラ『テロル』(早川書房)を各105円で買う。
by anglophile | 2012-09-16 23:34 | 古本 | Comments(0)