2011年 12月 13日
北川健次展 Kenji Kitagawa ― 鏡面のロマネスク
先週の土曜日のこと、先月末から福井県立美術館で始まっている「北川健次展 Kenji Kitagawa ― 鏡面のロマネスク」を見に行きたいが、福井はちと遠いなあ、と窓辺で逡巡していたら、息子がトレーディング・カードを探しに福井のブックオフに行きたいらしい、ということを妻が教えてくれた。息子は、バトルスピリッツ(通称バトスピ)というカードゲームのカード収集家である。聞くところによると、金沢のブックオフやカメレオンクラブ(通称カメクラ)でもカード販売は行っているが、彼が求めているカードは売っていなかったそうだ。これは父親である私の背中を押してくれているのだと解釈し、日曜日は福井行きと相成った。どちらにも興味のない妻の方は留守番を選んだ。

息子と二人で小雨の降る中、一路福井へ。最初は、10時から12時までタイムセール(105円以外の本が半額)を行うという「ブックオフやしろ店」に行った。けっこう大きめの店舗である。開店少し前に到着したが、すでにかなりの数の人が並んでいたのでびっくりした。こういう状況は苦手だが、入場してみると、文学棚はさほど競争率が高くなく、オロオロせずに済んだ。とはいえ、買えた半額セール本は文庫本数冊のみだったので、あまりセールの意味はなかったかもしれない。むしろ105円棚の方が好みの本が多かった。ここでは1時間ほどねばってから、そのあと残りの3店舗を順番にまわることにした。結局一番買えたのは最初の店で、あとはちょぼちょぼといった感じ。買った本は大体こんな感じ。

・遠藤周作 『狐狸庵読書術』 (河出文庫)
・チャールズ・ブコウスキー 『死をポケットに入れて』 (同上)
・アガサ・クリスティー 『アガサ・クリスティー自伝(下)』 (ハヤカワ文庫)
・片岡義男 『ホームタウン東京』 (ちくま文庫)
・滝田ゆう 『泥鰌庵閑話(上)(下)』 (同上)
・武井武雄 『お噺の卵』 (講談社文庫)
・穂村弘 『絶叫委員会』 (筑摩書房)
・倉橋由美子 『迷路の旅人』 (講談社)
・常盤新平 『ペイパーバック・ライフ』 (新潮社)
・マーガレット・アトウッド 『侍女の物語』 (同上)
・ジャネット・ウィンタースン 『ヴェネツィア幻視行』 (早川書房)
・クラフト・エヴィング商會 『じつは、わたくしこういうものです』 (平凡社)

マーガレット・アトウッドとジャネット・ウィンタースンの2冊はうれしかった。両方とも20年以上前の単行本で、なかなかお目にかかれないと思う。さて、息子の方はといえば、お目当てのカードはあったものの、値段が高すぎるので、断念した。というか、機が熟すのを待つよう諭し、断念させた。渋い表情をしていたが、それでいいんだよ。Be patient, my boy, if not ambitious!

c0213681_2125729.jpg


さて、古本遊びもそこそこに、お目当ての北川健次展へと向かう。福井県立美術館はもちろん初めて。場所がちょっとわかりにくかった。藤島高校とか福井大学の近くなんだなあ。

c0213681_18504593.jpg

北川さんの作品に興味を持ったのは、河出文庫から出ている『十蘭万華鏡』の表紙に北川さんのオブジェ(「支那服を着たアリスの肖像」)が使われていたことによる。続く『パノラマニア十蘭』でも別の作品(「パルミジャニーノの青の肖像」)が使われている。ちなみに、一月に出るらしい『十蘭レトリック』の表紙はどうなるのだろうか。興味津々。

c0213681_18531738.jpg
c0213681_18505485.jpg

展示作品は200点ぐらい。銅版画、オブジェ、写真とジャンルは多岐にわたる。個人的には、オブジェ作品が好みである。残念ながら、「支那服を着たアリスの肖像」は今回は展示されていなかったが、「パルミジャニーノの青の肖像」の方はあった。オブジェにはガラスやペイントされた板が使われている一方で、金属板やネジや釘などの剥きだしの錆の具合もとてもよかった。

c0213681_1853496.jpg

この日は北川さんと館長との対談も予定されていて、そのためか来館者も多かったように思える。私も最初の30分だけ聴講した。駒井哲郎、棟方志功、池田満寿夫といった錚々たる版画家との出会いのエピソードは興味深かった。銅版画からオブジェの制作に移行していった動機についても話をされていた。本当は最後まで聴きたかったが、息子が渋い表情をしていたので、やむなく美術館をあとにすることになった。ただ、北川さんのご出身が福井であるとはいえ、地方にいながら比較的近場でこのような展覧会に来ることができたのはラッキーだったと思う。

こちらは展覧会の図録。池田満寿夫、飯沢耕太郎、四方田犬彦といった人たちの言葉が掲載されている。

c0213681_2265512.jpg

[PR]

by anglophile | 2011-12-13 22:11 | 古本県外遠征 | Comments(6)
Commented by でっぱウサギの本 at 2011-12-17 20:16 x
 お久しぶりです。美術館&古本屋めぐり、最高ですね。私も久々に福井に行きたくなりました。美術館つながりでいうと、きのう金沢21世紀美術館に某コンサートに行ったのですが、広坂書房が閉店してました。残念。あのオバチャンのいかにも善良そうな顔が思い浮かびます。
 「世紀」つながりでいうと、金澤20世紀書房は来年1月3日の朝10時にオープンだそうです。場所は横川です。もう情報入手済みでしたか。
 最後にちっちゃい情報を。今日北町BOに行くとロマン文庫が大量入荷してました。思わず『マタ・ハリなんとか』を買いそうになりましたけど、やめときました。これは中身より金子國義イラストに価値があるのかな。
 それでは、また楽しい古本探訪記を期待してます。
 
Commented by anglophile at 2011-12-17 23:41
でっぱさん、こんばんわ。ごぶさたしております。

広坂書房の閉店には驚きました。誠に残念です。昔からある古本屋さんがなくなると寂しいですねえ。一方、金沢20世紀書房さんの噂は最近知りました。すごく楽しみです。自宅からもけっこう近いので。

ロマン文庫はあまりにも量が多いので私は未踏の領域です。ジャンル的にも(笑)。でも、ひそかに明日チェックしに行ってたりして。ところで、今日のブックオフレポートは小松店の話でした。明日までセールは続いているようです。文庫本200円均一、単行本500円均一、マンガがオール200円と、かなりいい感じでした。遠いのでなかなか行けませんが、ときどきのぞいてみる価値がある店舗ですね。
Commented by みこ at 2011-12-18 23:57 x
おじゃまします、こんばんは。
閉店といえば、松任の時代屋書店も閉店したのですね。
おととい通ったら中が空っぽで看板も外されてました。
数ヶ月前はあったような気がするのですが・・・
この店では5年位前に買い物したきりだったなあと、
さすがにあんな大きなブックオフが近くにあったら大変だったろうなあと、
なんだかかわいそうになってしまいました。
Commented by anglophile at 2011-12-19 11:00
みこさん、時代屋書店もとうとう姿を消してしまいましたね。あれは夏頃でしたか。私も比較的家が近いのでときどき寄ることがありました。良さそうな本が何気に追加されていたりして、けっこう楽しめたのに。今となっては残念です。
Commented by でっぱウサギの本 at 2011-12-21 23:04 x
先日の情報に訂正がありました。金澤20世紀書房は1月4日オープンでした。古本&カフェのお店だそうです。ポッケまーとでお会いしたのですが、ご主人はとても気さくな人ですよ。
Commented by anglophile at 2011-12-22 09:24
でっぱさん、わざわざありがとうございます。4日ですね。自宅からもっとも近い古本屋さんになりそうなので、ほんとに楽しみです。


<< 今日のブックオフ      Les Negresses V... >>