2011年 05月 31日
今日買った本
今日は半額セールをやっているという店へ。

・山田正紀/恩田陸 『読書会』 (徳間文庫)
・荒俣宏 『日本橋異聞』 (光文社知恵の森文庫)
・山本健吉 『正宗白鳥』 (講談社文芸文庫)
・嵐山光三郎 『悪党芭蕉』 (新潮文庫)
・向田邦子 『向田邦子全対談』 (文春文庫)
・寺山修司 『寺山修司青春歌集』 (角川文庫)

『寺山修司青春歌集』の解説を中井英夫が書いている。シビれた。
 いったい、十六年という歳月は、長いのか短いのか、どちらだろう。むろん作者にとっても、それはどうともいえないはずだが、変貌という点ではめざましく、出現の当時が十八歳、早稲田の教育学部の学生だったのが、現在は劇団天井桟敷の主催者で前衛演劇の中心人物となり、その成果を世界の各国に問うているのを見ても肯けよう。一方、千年の歴史を持つ短歌の中においてみると、その年月は、あたかも掌から海へ届くまでの、雫の一たらしほどにもはかない時間といえる。だがこの雫は、決してただの水滴ではなく、もっとも香り高い美酒であり香油でもあって、その一滴がしたたり落ちるが早いか、海はたちまち薔薇いろにけぶり立ち、波は酩酊し、きらめき砕けながら「いと深きものの姿」を現前させたのだった。
 もともと薫ずるもの、匂い立つもの、彩色のことにも豊かなものが芸術の甦りには必須の条件であり、老化し沈滞したとみるまに、また新しい斧が一ふりされて風景は一変するというのが、これまで変革のたびになされてきたことだが、寺山修司の出現した一九五四年までの歌壇は、老化を神聖とし、沈滞を深化と勘ちがいするほどに長老が絶対権を持った部落であった。五十代で中堅、三十代でようやく新鋭という厳密な序列の支配するそこへ、この十代の若者は、まさに青春の香気とはこれだといわんばかりに、アフロディテめく奇蹟の生誕をした。(186-7頁)

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by anglophile | 2011-05-31 20:26 | 古本 | Comments(0)


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