2010年 09月 04日
トマス・ハーディの詩   
トマス・ハーディは小説家として有名だと思うが、詩人でもあったらしい。ブックオフで『古き焔(ほむら)があと』(十月社、1998年)という大判の写真入りの詩集を拾った。105円也。

副題に「1912-13年の詩」とあり、最初の妻であったエマの死を悼み、彼女への悔恨と追慕を詠った詩篇が収められている。
ピクニックの跡

去年(こぞ)の夏
海に開けた丘の
小枝と荊棘で
焚火をした所へ
ゆっくりとわたしは
冬のぬかるみを登る
見ると一目で
わたしたちが後にした
場所がわかる

今は冷たい風が吹き
草は灰色だが
いま尚そこは
焦げた円の形をしている
炭になった棒切れが
わたしの立っている
草原(くさはら)にいまも散らばっている
わたしはあの日やってきた
一行の最後の遺物!

そう 去年と全く変らず
わたしはここにいる
海は奇妙な直線から
この丘へ相かわらず
潮風を吹きつけてくる
わたしたち四人が来たときのように
---だが二人はこの草の丘から
ピクニックとは無縁の
都会の喧噪へ
遠く去っていった
そして一人は---目を閉じた
永久に
訳者の藤田繁氏は金沢大学で教鞭を執られていたようだ。なるほど、だから金沢のブックオフにこういう本が置いてあるんだな。
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by anglophile | 2010-09-04 00:56 | 読書 | Comments(0)


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