2010年 08月 28日
龜鳴屋の本
・『したむきな人々 ~近代小説の落伍者たち~』
・『金子彰子詩集 二月十四日』
包みを開けて本を手にする。そのすばらしい装幀にしばし陶然とする。一冊一冊丁寧に作られていることがわかる。さっそくグラシン紙をかける。こういう本にこそグラシン紙を、とおもう。
『したむきな人々』の奥付を見ると、私のは限定五百四十四部のうちの「49」番だった。検印紙に描かれたカラーの亀の絵が愛らしい。「したむき」に頭を垂れているように見える。奥付のページの次のページには、「続刊予告」が載っている。大笑いしました。その名も『むきむきな人々 ~近代小説の肉体派たち~』である。『ひたむきな人々』、『したむきな人々』ときて、『むきむきな人々』である。こういうのはわたし、ツボです。最後に、「刊行は『したむきな人々』の売行次第」と書かれている。これもツボにはまる。微力ながら、応援させていただきます。
詩集『二月十四日』のカバーのユニークさについてはすでに知っていた。最初、ハートをしばらく破らないでおこうとおもったが、奥付が見たかったので、意を決して破く。すごいなあ、どうやったらこういう装幀をおもいつくのだろう。奥付を見て驚いた。私の手元に来たのは限定二百十四部のうちの「213」番だった。ということは、残部は一部ということだろうか。ギリギリセーフだったのかもしれない。ふと penultimate という英単語が頭に浮かんだ。
私には、数日前に本を注文したばかりの龜鳴屋さんがいらっしゃったことだけでも驚きだったのですが(とはいえ、地元ですからあの日あの場所にいらっしゃる可能性はじゅうぶんにあったはずなのにその可能性に気づく余裕はありませんでした)、まさかまさかその龜鳴屋さんから届いた詩集の著者である金子さんともあのときお会いしていたのですね。多くの方との出会いに恵まれた一日だったとおもいます。またお会いできる日を楽しみにしております。