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古本万歩計 Of what is lost, all I wish to recover is the daily availability of my writing, lines capable of grasping me by the hair and lifting me up when I'm at the end of my strength. - Roberto Bolano

『イングロリアス・バスターズ』

『ユリイカ』の今月号はクエンティン・タランティーノを特集している。私の知るかぎり、『ユリイカ』がこの異才について特集を組むのはこれが初めてのはずである。遅きに失した感がある一方で、もしかしたら今がその時機なのかもしれないとも思った。最新作『イングロリアス・バスターズ』についてはまったく知らなかったのだが、「この映画はきっと面白いにちがいない」という自分の直感にしたがって、本日映画館でその最新作を観てきた。『ユリイカ』を買うのと同じくらい、映画館で映画を観るのも久しぶりだった。二時間半を超える上映時間だったが、まったく退屈しなかった。ブラッド・ピットも良かったが、ナチス高官を演じるクリストフ・ヴァルツがすばらしかった!カンヌで最優秀男優賞を受賞したのもうなずける演技だった。

さて、映画自体をあまり観なくなったこともあるが、タランティーノのここ十年ぐらいの作品にはほとんど注目していなかった。『キル・ビル』すら見ていない。私にとってのタランティーノ映画といえば、『レザボア・ドッグス』(一九九二年)、『トゥルー・ロマンス』(脚本のみ:一九九三年)、そして『パルプ・フィクション』(一九九四年)の三作で止まっている。しかし、この三作から受けた衝撃は今でもおぼえている。当時イギリスにいたのだが、『レザボア・ドッグス』はその有名な暴力シーンのため、ビデオでの発売が禁じられていて、映画館でしか見ることができなかった。だから、ロンドンなどでは『レザボア・ドッグス』のみを上映している映画館があった。今もそうなのだろうか。(ちなみに、『エクソシスト』も同じような理由で、『エクソシスト』専用の映画館があった。)『パルプ・フィクション』は三回見た。当然、字幕などないから、セリフが分からないところがたくさんあり、Faber and Faber から出ていた脚本集を買って繰り返し読んだこともあった。自分のなかでは、『イングロリアス・バスターズ』はこれらと同じくらい楽しく観ることができた。
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by anglophile | 2009-12-13 02:25 | 映画 | Comments(0)