2009年 12月 10日
久しぶりのY書房
このご主人で思い出すことがひとつある。「下鴨納涼古本まつり」に初参加するために、私は二年前の夏に京都を訪れていた。そのときに三条のブックオフで、このご主人にすごくよく似た方を見かけたのである。声をかけたわけでもないので、あくまで「よく似た人」なのだが、自分の中ではあれは間違いなくこのご主人だったと今でも思っている。同県の赤の他人同士が他県で出会う可能性はきわめて低いだろうが、「古本」という共通の磁石によって偶然にもそこに引きつけられたのではと考える方が私にはずっとおもしろいのである。このご主人も、きっと私と同じように「下鴨」目当てに京都にいらっしゃったのだと。
ところで、なぜこのご主人の顔をそこまで明確に認識できたかというと、それより数ヶ月前に私はY書房を訪れ、『詳注シェイクスピア双書 全一八巻』(研究社)を購入していたからである。そしてこのとき、このご主人が一割値引いてくれたことが私の印象を強めていたのである。
今日Y書房を訪れたのは、実はそれ以来だった。その二年前に訪れたときよりは、店内がずいぶんと整理されていた。あんまり大きな買い物はしなかったが、次の三冊を買わせていただいた。
・巌谷大四 『本のひとこと』 (福武文庫) 四〇〇円
・松本清張 『古代史疑』 (中公文庫) 一〇〇円
・室生犀星 『随筆 女ひと』 (新潮文庫) 一〇〇円
久しぶりに、昔ながらの古本屋さんの空気を味わうことができてよかった。