2009年 12月 03日
『野呂邦暢作品集』   
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『野呂邦暢作品集』(文芸春秋、一九九五年)をアマゾンのマーケットプレイスで購入する。一万円近い値段が付けられているものもあるなかで、ほぼ定価の値を付けているお店があったので、思い切ってクリックボタンを押した。帯付きで状態も悪くないので満足している。先週、『朱雀の洛中日記』さんのブログを見ていたら、野呂のことがいろいろと書かれており、興味をそそられた。そしてまだ読んだことがない野呂のエッセイを無性に読みたくなってしまったというわけ。

この作品集は全部で約五七〇頁あるが、そのうちの約三九〇頁が小説で、残りの一八〇頁には『小さな町にて』を中心に多くの随筆が収められている。『小さな町にて』は抄録ではなくて、全部読みたいところだが、贅沢も言ってられない。(この随筆集自体に結構いい値が付けられているのだから。)これらを読むと、何よりも野呂が子供の頃より大変な読書家だったことがわかる。外国文学も多く読んでいる。ボルヘスやフォークナーなどの話が出てくる。また、『小さな町にて』という題名は、フィリップの「小さき町にて」からとっているそうだ。同様に、自身の第一作につけた「壁の絵」という題名もシリトーの「漁船の絵」という作品からとったということがわかる。シリトーかあ、シブいなあ、と思ってしまう。

興味は尽きないが、この作品集には古本好きのみなさんがよく引用される「山王書房店主」もちゃんと収められている。「ブールデル彫刻写真集」のエピソードは佳話である。あとは、関口良雄さんの『昔日の客』を手にする日が訪れることを願うばかりである。そう願っている人がほかにもたくさんいることを私は知っています。
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by anglophile | 2009-12-03 02:42 | 古本 | Comments(0)


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