2009年 10月 18日
イーヴリン・ウォーとペンギン・ブックス
イーヴリン・ウォーと言えば、今年の初めにBrideshead Revisitedの邦訳『回想のブライズヘッド (上)(下)』(岩波文庫)が出たのが思い出される。吉田健一訳(『青春のブライヅヘッド』)が一般に有名だと思われるが、この岩波文庫版の訳者は小野寺健氏である。実は、私は大学4年のころに1年間この小野寺先生のの講義を受けたことがあったのである。イーヴリン・ウォーという作家の名前もこの授業で知ったのだった。先生はもうかなりのご高齢になられているはずであるが、今もお元気で翻訳活動をされているのだなあと嬉しく思った次第だ。今では、あのころが懐かしくてしかたがない。

さて、ウォーの『ブライズヘッド』だが、私は古いペンギン・ブックス版も持っている。それは学生時代にたしか買ったものだった。で、そのカバー・デザインがたまらなく好きなのである。それがこれである。
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この色調や文字のデザインが独特である。裏表紙には、Cover design by Peter Bentley と記されている。いろいろ調べるなかで、ある記事によってこのBentleyについていくつかのことが分かった。

・Peter Bentleyは、Bentley/Farrell/Burnettというデザイナー・グループのメンバーであるらしいこと。
・どうやらこのパステル調のカバー・デザインは、もともとシェイクスピアの作品のカバーに使われる予定だったらしいこと。
・たまたま使われずに残っていたものを早く処分したいという印刷所の希望で、急遽イーヴリン・ウォーの新しいペンギン・シリーズに使われることになったこと。
・このカバー・デザインの企画を請け負ったDavid Pelhamという人物が、Bentleyらのグループに最終デザインを依頼した。Pelhamの希望は「アール・デコ調の建物のみ(?)を描いた絵」だったらしいが、Bentleyらはそれを無視し、人物もそこに含めてしまったらしいこと。
・このカバーは世間的には好評だったが、Pelham自身はそのことをあまりおもしろく感じていなかったらしいこと。

他にもいろいろと細かい当時の事情があったらしいが、大体は以上のようなことらしい。手元にある『ブライズヘッド』の巻末には、他に13か14作品ほどBentelyによるウォーのカバー・デザインがあるらしいことが分かる。ということで、ネットで調べてみると、それらを紹介しているサイトがありました。
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揃いも揃って13冊。これだけ見せられると羨望を覚えてしまう。ちなみに、このほかに、Vile BodiesThe Diaries of Evelyn Waughがあるようだが、この方のコレクションにはないようだ。これらにもBentleyの絵は使われているのかどうなのか知りたいところである。この方はペンギンのペーパーバックを主に集めおられるようで、しかもものすごい冊数のペンギンを蒐集されているようだ。(興味を持たれた方は、「その他のリンク」から見に行くことができます)私の『ブライズヘッド』は1981年出版となっている。これらのBentleyシリーズは、1970年代末から1980年代前半までに限られるのではないか。現在のペンギンはデザインも違うし、紙質もまったく変わったものになっており、この時代の面影はまったく感じられないのが少し寂しい気もする。

最近は日本の文庫本ばかり追いかけているが、こういうサイトを見てしまうと、ペーパーバック(特にペンギン)もやっぱりいいなあと思う。自分の蒐集魂に火がついてしまいそうだが、洋書を日本で集めることには限界があるので、今はどうにもできない。ぐっとガマンするしかないが、一方でイギリスに行きたいという思いが募るばかりである。
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by anglophile | 2009-10-18 20:01 | 古本 | Comments(0)


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